”狩人”フリアグネ編
九章 「都喰らい」
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からさ」
目の前のトーチを見ながらシャナに答える。
「なんだ、そんな事だったの」
期待外れの事だったからか、シャナは笑い飛ばしてきた。仕方ないだろ? 実物を見てみないと分からないもんだしさ。
「そんな事で悪かったな。けど、あんまり見ていて気持ちの良い物じゃないな。あんな風に鼓動してると、心電図を見てるみたいだしさ」
「………鼓動? なんの事」
シャナは一転変わって怪訝な顔で振り向く。ありゃ、また地雷を踏んだか?
とはいえ、なにも言わない訳にはいかないよな。説明しなきゃ相手に伝わる訳もないし。
「灯が揺れたり膨れたりしてるだろ? ほら、古いのは遅く、新しいのは早くって具合に。分からないか?」
「分からないわ、アラストールはどう、分かる?」
「我にも分からぬな」
アラストールにそう聞いた後、シャナはジロジロとこっちを見てくる。
「お前―――、本当に変なミステスね。中に何を入れたら、そんな力が出るのかしら?」
「それが分かれば、苦労してないだろ」
このままだと中を見る為に消されかねないから、ツッコミをいれる。程なくして、信号が青に変わったので、俺たちはまた歩き出した。
「アラストールにも分からないのに……。それ、本当に言ってるの?」
「こういう事で嘘なんてつかない。けど、本当に分からないのか?」
「本当に分からないのよ。古いか新しいって違い以外は」
人によって見え方も違うのか?
そんな疑問を抱きつつ、シャナが言い終えたのと入れ違いにアラストールが質問してくる。
「それは『全て』のトーチか?」
全て………か。そう言われると確信がないので、改めて俺は周りを見回すことにする。
大通り沿いの歩道に目を移す。自分達の周囲だけでも二、三十を越えるトーチになってしまった人たちが見えた。
その全ての灯が、それぞれ心臓のごとく規則正しく鼓動を打っている。まさしく命の灯火といったていで。
「あぁ、全員の灯が鼓動してるな」
あの灯が消えた時に、そのトーチは世界から居なかったことになる。いや、本当は既に居なくなっているのだろう。俺の目の前で見えるトーチは、その元の存在の残滓。鳴り響いた音のエコーのようなものなのだから。元の音源が鳴りやんだ今、ゆっくりと小さくなり、そして誰からも聴こえなくなってしまうのだ。
そして、トーチ達が着々と増え続けている現状。
俺には何が出来るのだろう。
俺は何をしなければならない?
「トーチの多さと関係しているのかな?」
シャナはアラストールに疑問を投げている。しかし、アラストールからの返事はなかった。
「……アラストール?」
シャナはもう一度聞き返すが、返事が返ってこない。立ち止まっている訳にもいかないので、仕方なく、俺たちはただ黙って歩く事にした。
彼には確
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