”狩人”フリアグネ編
九章 「都喰らい」
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〜side 士郎〜
返事がなかったのでシャナの方を見てみると、ちょうど視線が合った。が、すぐに視線を逸らされる。
変なことは言ってないと思うんだが。相手からのアクション待ちな以上、目的が分かれば妨害をすれば良い。そうすると、おのずと相手から仕掛けてくるからな。
すると、シャナはいきなりずんずんと大股で歩き出す。
「―――行くわよ!」
「行くって、何処にさ?」
さっきまでアテもない旅をしてた筈なんだけど、目的地でも決まったのか?
「そんなの、分かるわけないでしょ!」
決まってないんかい!
いきなりどうしたんだってんだ? で、俺はどうすりゃ良いんだ?
「さっきから、コロコロと機嫌が変わって忙しそうな奴だな」
とにかく、思った感想を述べることにした。
「関係ないでしょ!」
確かに関係ないけど、他に何をすりゃ良いのか分からないから聞いたんだ。特に深い意味はない。
「分かったよ……、それで何処に行くのさ?」
こうなったシャナには素直に従うのが吉だ。俺だって長生きしたいしな。消えるまで時間はそんなに無いだろうけどさ。
けど、時間切れで消えるよりも前に、協力者の手で消されるのは勘弁だし。
「とにかく行くの! 行き先なんて考えるのは後!」
―――人はそれを無計画と言う。
だが、シャナにそれを指摘するのはあまりにリスクが高い。
「はぁ………。分かったよ、何処へでも付き合ってやるよ」
大股で歩くシャナに引き連れられる形で、俺たちは雑踏に突撃していった。
◇
「……で、結局、行き先が決まらないまま歩き続けたな」
まぁ、何となく予想はしてたけどさ。
相手が出てくるまでなにも出来ないんだから、当然の結果ではあったけど。
「うるさいうるさいうるさい。お前だって、付き合ってやる、って言ったでしょ。後から文句を言わない!」
そりゃそうだ。あんなに無言で圧力をかけられれば、ああ言うしかない。
無論、そんなことをシャナに言える訳もないし、強引に話題を変えることにする。
「とりあえずだ。家に帰ってからも警戒は続ける方向で良いんだよな?」
一瞬、怪訝な顔を見せるシャナ。だが、言ってもこの問題は解決出来ないと思ったのか、一応、こっちの話題に切り替えてくれた。
「そうね。夕方にまた一戦あるかもしれないし」
無いことを祈るしかないな、と思いながら、信号待ちで足を止める。
なんともなしに向かい側の人込みを見る。なるほど、この間に言ってたことはこれか? そう考えると、思わず口から言葉が出ていた。
「確かに、注意して見ると分かるもんだな」
「なにが?」
「トーチの古いとか新しいとかだよ。昼に言ってただろ? 確かに注意して見てみたら分かるな、って思った
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