”狩人”フリアグネ編
九章 「都喰らい」
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ではない。愚かとはいえ我が同胞を討ち滅ぼすような真似をしているのは、両界のバランスを憂える大儀あっての事だ」
「はいはい、ちゃんと分かってるってば」
シャナはそれに気持ちよく笑って答える。アラストールに対するときは、可愛いげのある顔をするんだよな。
シャナはあんな具合に笑ってる方がずっと良いと思う。どうにもしかめっ面ばっかりしてるしな。俺が消えるまでに、あんな笑顔をもっと表に出せるようになってくれれば良いんだが。
まずは練習がてら、俺に笑いかけてくれれば……。
――――って、何を考えてるんだか俺は。
なんだかこっちの世界に来てからの俺は少しおかしい気がする。この世界に来るまではもっと普通だった筈だ。
俺は空を見上げ思案にふける、シャナはアラストールからまだお叱りを受けているようだ。
すると天から聞き慣れた声が聞こえてきた気がした。
「あら、士郎。貴方……自分が普通だと思ってたの?」
いやいやいや、ここで彼女の声が聞こえる筈がないだろ! 確かに彼女は世界から旅立つ俺の見送りをしてくれたが、決してこの世界に一緒に来た訳じゃない。
これは幻聴だ、幻聴。
所謂、ホームシックのようなものだろう―――、そうに決まってる!
「私、前々からずっと思ってたんだけど……士郎って絶対、ソッチ系の趣味あるわよね〜」
それにしてもリアルな幻聴だな、本物そっくりだ。
「セイバーとイリヤを見る士郎の目って、ちょっと危なかったもの」
幻聴の癖になかなか言ってくれるじゃないか。何がソッチ系の趣味だよ全く。今はシャナの見かけがあんなのだから、それっぽく見えるだけだ。
だってセイバーとイリヤだぞ? 二人とも家族みたいなもんだし、外見だって問題ない筈だ。
「そう言うのなら、二人の外見的特長をよ〜く思い出してみなさい」
二人の外見的特徴? そんなことを聞いて何になるってんだよ。
「ああっ、もう! うだうだ言ってないでさっさと考える!」
憐れ衛宮士郎、幻聴にまで苛められてるぜ俺。
セイバーって言ったら、外見は十五〜十六歳位の端から見れば普通に可愛らしい女の子じゃないか? もっとも、最優ともいわれた騎士王かつ、腹ペコ大魔人だけどな。
イリヤは………、さながら妖精のような女の子だろ。とはいえ、成長が止まってしまってるだけで、実年齢は俺以上なんだけどさ。外見はどうみても幼女だけど。
アレ? ――――なんだか昔からこんな趣味だったような気がしてきたぞ。
「ほら、見なさいよ。やっぱりソッチ系じゃない」
まさか………、な。俺は本当にソッチ系なのか―――?
「その趣味の性で私がどれだけ苦戦をしていたか………って、別に何でもないわよ!? 独り言よ独り言! 今のは忘れなさい!」
言われて見れば、時折、桜から向けら
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