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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
外伝1 哀戦士
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ーエングラム侯の死に責任を感じているのか?」
「責任ですか……、いいえ、ただ寂しい、虚しいんです。何故あの時心臓を庇ったのだろう。庇わなければ一緒に死ねたのに……。全てが私の望みとは別な方向に進んでいく……」
ブラウンシュバイク公の問いに答えるエーリッヒは寂しそうだった。死に損ねた、そう思っている、そしてその事を責めている。ブラウンシュバイク公がやるせなさそうに息を吐いた。
「……ヴァレンシュタイン、ローエングラム侯は死んだ。辛かろうが死んだ者は戻っては来ぬ。そして卿は生きている。生きている者は生きている者だけが成し得る責任を果たさねばなるまい」
「責任ですか……」
「そうだ、未来を紡ぐという責任だ」
「未来……」
虚ろな口調だ、ブラウンシュバイク公の言葉はエーリッヒの心に届いていない。
「卿が望んだ世界、わしとリッテンハイム侯で実現して見せよう。だから力を貸せ、ヴァレンシュタイン。怪我を治し戻って来るのだ」
「そうだ、我等には卿の力が必要だ」
「その必要はないでしょう。御婦人方に全てを託しました」
ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯が顔を見合わせてから微かに笑った。力の無い笑いだ、エーリッヒが不思議そうに二人を見た。
「残念だが卿の配慮は無駄になった」
「それはどういう意味です、公」
またブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯が顔を見合わせた。二人とも苦笑が止まらない。
「アマーリエと侯爵夫人が自分達の手には負えないと言って我らにチップを見せたのだ。二人とも震え上がっていたぞ。もっとも見せられた我らも溜息しか出なかったが」
俺も中身は見せてもらえなかったがチップの事は聞いた。一体何時から用意していたのか……。チップの事を聞いた時は声を出す事も出来なかった。
「自分で卿の夢見た世界を実現したいとは思わなかったのか?」
「……あれは保険だったのです」
保険? 自分が居なくても帝国が変わる様に残したという事か。違うな、リッテンハイム侯の問いに答えたエーリッヒは困った様な顔をしている。他に何か有る。
「貴族連合軍は負けると思いました。その時にはブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯も戦死したでしょう。例え降伏しても反逆者の盟主と副盟主です、待っているのは死。生き残る事は出来ません。お二人を救う事が出来ないのならせめて両夫人、御息女方は助けたいと思いました」
「……」
皆、声も無く聞いている。エーリッヒ、卿は……。
「私も戦死していたでしょう。あの方達を守る人間はいない。だからあのチップを作りました。戦局が悪化したらチップを御夫人方に渡すつもりでした。そしてチップを使って内乱終結後、ローエングラム侯と取引させる……。ローエングラム侯ならあのチップの価値を理解して十分に利用するでしょう。庇護者を
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