(ハガレン)無言の会話、ラスト
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[9]前 最初
バッカニアの声が頭に響く。俺は弾けるように空を見上げた。
頭上に見えるのは青い空だ。
どこまでも吸い込まれてしまいそうな、真っ青な空。
同じような青さを自分は知っている。バッカニアと二人で、よく見ていた青の色。我らの女王。アームストロング少将の瞳の色だ。
「ああ、そうか、バッカニア。そういう事だったのか」
所々で感じていた疑問が一つに結びつく。頭の靄が晴れたようだ。
きっとバッカニアはプリムラの持つ意味を知っていたのだろう。
だからこそ、アームストロング少将の誕生日にプレゼントを贈ろうなど企画したのだ。
決して口にする事の無い想いを、バッカニアは何としても伝えたかったのだ。
なら次なる疑問だ。アームストロング少将はどうなのだろうか。
プリムラの花言葉を、バッカニアの想いを知っていたのだろうか。
「少将は有名なアームストロング家のお嬢様だ。間違いなく知ってるな」
バッカニアの墓に供えられいたのは青いプリムラの花だ。無言の愛。その意味をアームストロング少将が知っている可能性は高い。
ならこの花は、アームストロング少将からバッカニアに当てた想いなのだろうか。
「この話をしたら、俺は少将に殺されるな」
俺はミートパイを口に放り込んだ。食べ応えのある一枚だ。
ようやく墓の出口も見えてきている。残りの2枚を完食する頃にはホテルに着くだろう。
春を告げる鳥が鳴く。
俺は空を見上げた。バッカニアが愛したブリッグズの空だ。
「想いは届いたか? バッカニア」
空は無言で微笑むばかりだ。
END
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