第一話「夜空の巫女」
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激しい性差別が広まったのだ。それは、男性が不遇されて代わりに女性が優遇されるという不条理な差別環境だ。よって、女達にとって俺たち男共は単なる労働力に過ぎない。楽したり、良い思いするのは皆女共ばかりだ……
「……」
帰り道を歩く中、俺は先ほどのことで益々イラつき始めた。何か、激しいことをして仕返ししてやりたくなる。何か……何か騒ぎを起こしてやりたい。そんな衝動に駆られてしまう。
しかし、そんな感情にまで上り詰めると、それは単なるテロリストと変わらない。もう止そう、こんなことばかり考えていると、性格が狂ってきそうだ……
何度か舌打ちした後、代わりにため息をしながら俺は家に向かう。けれど、どうせ家に帰ったって両親が口うるさく何かと説教をしてくるに違いない。
俺の親父は大手企業で働くリアリスト、お袋も弁護士を営むリアリスト、そんなお堅い夫婦に挟まれての俺はまさに地獄のような日常生活を送っている。
小学生のころからテストでは高得点を取れなどとプレッシャーをかけたり、高校生の時だって無理やり大学受験を受けさせられて案の定、落ちた。けど、それ以前に何をやっての上手いこといかない俺を見て、両親は徐々に俺に対して勘当の意を表してくる。
また、俺とは対照的で文武両道に優れた妹は、今年IS学園に入学して新たな青春を掴み取ろうとしているらしい。下らない。
俺は思いだせば思いだすほど嫌な感じになり、もう一度空を見上げてため息を漏らした。
「何か、良いこととかないかな……?」
そんな夢みたいなことに全てを期待することとなる俺は紛れもない哀れな人間の分類に入ることとなった。
さっきも言ったように、大学受験に関しては何度も落選し、それ以前に成績は下っ端、運動神経もゼロな俺には何の取り柄もないし何をやろうとしても自信はない。
「俺って……」
俺って、何のために生きてんだろ? 自分の存在理由にさえ疑問を持ち始めてしまった。
「はぁ……俺って、生きる価値なんてないのかも?」
そういじけながら俺は自宅の前に立った。そして、そこで考えた。
――どうせ、家に帰ったっていつもの生活しか待っていないんだ……
お堅い両親に板挟みされるよりもずっとマシな方法があるはずだ。俺は、徐々に落ち着きだして答えを求めだした。そして、出した答えが……
「……家出、しようかな?」
とはいえ、そんな度胸はあるはずもない。とりあえず家に一旦帰宅した。
玄関で「ただいま」も言わずに靴を脱いで自室へ向かう。学生のころはよく「ただいま」というのが癖になって帰ってきたら必ず言う台詞だったな? しかし、両親は俺が帰ってきても無反応だったけど……
「飛鳥か……」
階段へ向かう途中、廊下でトイレから出てきた親父とばったり会った。最悪のパターンだ。
「あ、ああ……」
俺は目を合わせずに階
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