衝動の焔を鎮火せよ
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やり過ごした。
「やっ!」
牽制程度の風の弾丸から、《風刃松濤》が無言で放たれる。
ウージはより肥大化した左腕で無造作に薙ぎ払い、“三つに増やした” 右腕で三連続のストレートパンチを穿ってきた。
「むん!」
「……Hmm……」
それをグラトニーは回転の勢いを乗せ、またも突風を使う力技で跳ねのけた。しかしパワー自体は上か、緩やかに回転してグラトニーも吹き飛ぶ。
この事から分かる……相手がある程度弱っていなければ、負けていたのは彼女の方だろうと。
負けじと右足で踏み出したグラトニーと、偶然にも思い切り蹴り出したウージの突進がぶつかり合い、両者ともまた飛び退き、一進一退の攻防は続いて行く。
「すげぇ……」
「別次元……ですわ」
『グラトニーちゃんも凄いですけど、やはり本気を出していませんでしたね、あのウージってエレメリアンは……!』
「……それを踏まえると、やっぱグラトニーが格上だって、理解させられるわね」
自分達とはパワーもスピードも違う戦いに、ツインテイルズの面々は驚きを隠せない。
自分達が対処できなかった力技とぶつかり合い、スピードにて見切れなかった攻撃を捌き、正面から堂々と一人でぶつかっている。
それはブルーの言うとおり、格の違いを再認識するには充分な事だった。
彼女達が体を引き摺りながら退避し、戦闘をただ見るだけしか出来ない中、『理性の強い』単純感情種同士のぶつかり合いは、まるでエンジンが掛かってきたかの様に……徐々に本格化してくる。
「……Un pieradu?i ogl?m―――《炎放叩》」
「うわっ……!」
左腕が引っ込んだかと思うと、辛うじて腕の形だけ留めている巨大な “炎腕” が猛烈な速度で伸びてきた。
それはさながら火炎放射器のごとしだが、威力も迫力も規模もアチラの比では無い。
予想外のスピードであったか、グラトニーは避け切れず彼方此方掠ってしまう。前転の要領で転げて、真っ芯だけは如何にか避ける。
猛風を使い、着火からの消火が一瞬ですんだものの、熱気は見事に体に残った。
「うにゃぁっ!? あああアチアチアチュチュ!!」
『落ちつけ相棒! 口調が変になってっカラ!』
グラトニーでも熱がっているその火炎放射に込められた高温は、やはりツインテイルズの時とは比べ物にならない。
同時に弱っているだけで、ウージもまたグラトニーと同格か一歩抜きんでているかの、実力者である事もうかがえた。
『さっきの腕野郎と同じつもりでやるかラダ! 気を引き締めたつもりじゃナク、マジで引
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