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第一章
木の葉
お爺さんが一人で公園のベンチに座っています。周りは落ち葉で一杯です。
「お爺さんお爺さん」
「落ち葉がとても奇麗だよね」
そのお爺さんに小さな子供達が声をかけてきました。男の子もいれば女の子もいます。何人もの子供達がやって来ました。
「赤い葉っぱもあれば黄色い葉っぱもあって」
「とても奇麗だよね」
「そうだね」
お爺さんは子供達のその言葉に頷きました。
「とてもね。本当にね」
「それでね。お爺さん」
「私達思うんだけれど」
子供達はそのお爺さんにまた声をかけてきたのでした。にこやかに朗らかに笑って。
「この木の葉集めない?」
「集めて一つにしない?」
「それはまたどうしてだい?」
お爺さんは自分の周りでこう言う子供達に対して尋ねました。
「どうして一つにしたいんだい?」
「だって奇麗だから」
「奇麗なものは一つにしておきたいから」
子供達はこう答えました。
「だからなんだ。いいかな」
「お掃除してね」
「そうだね。それはいいことだね」
お爺さんは子供達のその言葉に微笑んで頷きました。
「それじゃあまずはお掃除してね」
「うん、木の葉集めよう」
「皆でね」
「よし」
お爺さんは少し力を込めてベンチから立ちました。もう子供達のうちの何人かが箒や熊手を持って来ています。皆でそうした道具を使ってお掃除をはじめます。
子供達はとても元気よく動いて木の葉を集めていきます。赤い葉っぱや黄色の葉っぱがどんどん集まってとても奇麗です。
「ねえお爺さん」
「やっぱり奇麗よね」
子供達はお掃除をしながらお爺さんに声をかけてきます。勿論お爺さんも子供達と一緒にお掃除をしています。皆で楽しくしています。
「木の葉って」
「集めるともっと」
「そうだね。けれどこうして集めるともっといいことがあるよ」
「えっ?」
「もっとって?」
子供達はお爺さんの今の言葉を聞いてきょとんとした顔になりました。
「もっといいことがあるの?」
「集めると」
「うん。少し寒くなってきたよね」
お爺さんは穏やかな笑みを浮かべて彼等に尋ねるのでした。
「だからね。木の葉を集めたらね」
「はい」
「それでどうするんですか?」
「焚き火をしよう」
こう子供達に言うのでした。
「木の葉を全部集めたらね」
「焚き火?」
「焚き火をするのね」
子供達は焚き火と聞いて楽しそうな声を出しました。皆少し寒くなってきていたのでお爺さんの今の言葉がとても嬉しかったのです。
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