prologue:『英霊』
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──聖杯戦争。
知識としては知っているが、実際に参加するとなれば話は違う。
魔術師達の殺し合い。サーヴァントと呼ばれる過去の英霊を召喚しての、ぶつかり合い。
あらゆる手段を使って生き残り、聖杯を手にする為の戦争。
魔術師である『御華 功』は、その緊張を最高点まで高めていた。
目の前には召喚の為の魔法陣。触媒こそ無いが、召喚の為の魔力は十分過ぎるほど保持している。
功は一般の魔術師と比べれば、その技術は数歩劣る。否、数十歩は劣る。
一般程度の魔術師と戦えば数刻と持たず敗北すると確信しているし、今や才能が全く無い事も分かりきっている。
但し、功の優れている点は別にあった。
即ち、総合魔力量である。
その総量は文字通り桁違い。今までの経験から推測するに、常人が魔力を全て使い切って放つ大魔術すら、
単独で数十発は放てる自信がある。まあその技術が無いから今に至るのだが……
故に、聖杯戦争に置いても、魔力量だけに全てを賭ける。
持てる魔力を絞り出し、超高位のサーヴァントを召喚する。
ここで失敗すれば勝ちは無い。なるべくは三騎士クラス、願わくばセイバーが良い。
魔法陣の中心に立ち、自らの魔力の結晶──その依り代である短剣を、魔法陣の中心に突き刺す。
今一度魔法陣の外に出て、手をかざす。
──詠唱、開始。
「……すぅ──
──素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
──降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ 」
魔法陣に、光が灯る。
短剣から流れ込む魔力が、その扉を開いてゆく。
「──閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返す都度に五度
ただ、満たされる刻を破却する」
何とも言えぬ圧力が部屋を満たし、溢れ出す力が緊張を更に高めていく。
「────Anfang
────告げる
───告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ 。」
鼓動の音が早まる。汗が噴き出し、魔力が急速に奪われるのを感じる。
「誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 。
汝三大の言霊を纏う七天 、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───! 」
──紡ぎ出す。
光が、溢れ出す。
「……ッ??」
輝きは眼を灼き、咄嗟に腕で視界を覆う。
構築される人影、収束していく光。
光が収まると同時に、功は腕を下ろした。
女性だ。見たところ武器は持っていない、普段武器を出さないか、
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