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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っていた。
第二十二話
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対人コミュニケーションがそれで特に気にすることじゃないとあっさり追及を放棄する。

 一般人と同等というのは嘘だがLv.1の身体能力の上がり幅では到底追いつけない戦闘を一時間近く強いられるのは、とんでもない負荷が体に掛かる。だからいつもならこのままアイズに背負ってもらって宿舎の近くの裏道まで送ってもらうのだが、今日だけは違った。

 レイナは疲労の色がにじみ出ている顔に真剣な表情を浮かべた。

「ねぇアイズ。そういえば君に聞きそびれてたことがあったんだよ」
「……?」
「君は、どうしてそこまでして強くなりたいの?」

 至極あっさりとした問いかけ。だがアイズにとっては不意打ちの大打撃だった。大きな目が更に見開かれ金の瞳はわずかに揺れる。

 どうして強くなりたいか。その問いかけはアイズにとって、自分を形成する全てにおいて根幹を成す点だった。

「……倒すため」
「何を?」
「モンスターを、倒すため」

 武装で身を包んだ父が、そして母が自分に背を向けて遠くへ去っていってしまったいつかの日。風化してしまった幼き記憶の中で唯一はっきり覚えているシーンだ。それ以来両親は帰ってくることはなく、また両親がどうなったかすら知らないままだ。
 ただ断言できることは父が冒険者であったこと、その父が剣を手にして強張った表情を浮かべていたことから、身に余る強大な(モンスター)に挑んだということだ。

 とはいえ両親の仇を討つため、という理由で剣を執ったわけではない。いまだに両親の詳細を知らないアイズにとって、両親を奪ったモンスターは憎むべき存在だ。確かに冒険者になりたてだったころはそういった黒い感情があったのは否定しない。
 だけど今は違う。今の自分には家族が出来た。大切な仲間が出来た。彼らを守るため、そして父と母と同じような結末で仲間を悲しませたくないため、アイズには力が必要なのだ。誰も寄せ付けないくらい強い力が。

 アイズの返答を聞きレイナは深呼吸をしながら目を深く瞑った。真夜中の冷えた空気が火照った体を包んでいく中、レイナはぽつりと零した。

「モンスターって、何だろうね」
「……え?」

 あまりにあまりな言葉に思考に空白が生じる。何か言おうとする唇は空気を小さく食むだけで、はたから見れば硬直させているに等しいくらいだ。
 生きる石造と化したアイズに構わず、息が整い始めたレイナは続けた。

「人に害悪を加える醜悪な化け物。それは解ってる。でも、()()()()()()()()()()?」

 いったい何を言っている? そう聞きたくとも衝撃のあまり未だに喉は動かない。

「いや、違うかな。()()()()|ス《・
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