36.支援物資解禁の時
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これ、下手な鎧よりも防御力が高いんだ……それに圧倒的に軽いし。担当職員としては、生存率を上げるためにぜひ装備して貰いたいな?」
「………では、着ます」
「うん、素直でよろしい!それと……こっちの帽子は魔法の威力が増す効果のある帽子だよ。アニエスちゃんは魔法が使えるらしいから、こっちもどうぞ?」
言うまでもないが着替えはギルドの更衣室で行われたため、リングアベルの「生着替えを見る」という密かな野望は音もなく崩れ去っていった。膝をついて悔しがる彼に同情したのはベルのみで、ティズは苦笑い、女性陣は汚物を見る目で見下していた。リングアベルの評価、ストップ株である。
やがて、ティズはリングアベルから借りた剣を持って装備万端。アニエスも支給品の杖を用いていかにも魔法使いといった風望になった。久しぶりに槍を握ったリングアベルとベルも並び、4人はついに冒険の準備が整う。
4人パーティ。それは勇者一行の基本構成だと古来から言われているが、オラリオでは別にそんなことはない。3,4人の構成なんてありふれたものだ。しかし、少数で動くには多すぎず少なすぎずのバランスがいい構成でもあるのは確かだ。
「準備できたみたいね……ティズ君、アニエスちゃん!!」
「は、はい!」
「何でしょうか、エイナさん?」
「ダンジョン内では慎重に行動し、自分の力を過信しないこと!好奇心や探究心で迂闊な行動をしないこと!格上の相手や苦戦する相手に出くわしたら速やかに撤退すること!体力や装備、アイテムの管理を怠らないこと!これらの冒険者としての原則を総合すると――『冒険者は冒険してはいけない』!!これにつきます!!」
強い口調で説明するのは、二人に無事に帰ってきてほしいから。
数が増えても、冒険者は死ぬ時には死ぬ。だから言霊をたくさんぶつけ、少しでも生きて帰って来れるように願う。それがエイナのやり方だった。その思いやりが、二人だけでなくベルコンビの心も打つ。
「貴方たちがなんで冒険に繰り出すのかは、今は敢えて聞きません。でも、二人が死んだら悲しむ人がいるのは揺るがない事実です!だから、4人とも――必ず生きて帰ってくること!私から言えるのはそれだけです。いいですね?」
ティズは、大きく頷いた。
「僕も、目的を果たすまでは――いや、目的を果たしても死にたくはないです。エイナさんを村に案内する約束の為にも、生きて帰ってきます!」
アニエスは、小さく会釈をした。
「この恩は忘れません。いえ、これからも恩を作ってしまうかもしれませんが……私も死ぬつもりはありませんので」
リングアベルとベルは、いつものようにニヤッと笑って拳を掲げる。
「俺は世界中の美女とお近づきになるまで死なないぞ!!」
「僕も強くなるために生き延び
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