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K's−戦姫に添う3人の戦士−
2期/ヨハン編
K21 ずれゆくトライアングル
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 ヨハンはどうにか立ち上がり、呆然と破壊の爪痕を見るしかなかった。

 甲板は惨憺たる有様だ。装甲は抉れてほぼ全開。剥き出しになった中の機械も砕けて変形してしまっている。

 目の前が暗転しそうだ。
 これがウェルの、否、自分たちの造った人間兵器。

 何人の米国軍人が、船乗りが、人が、小日向未来の攻撃で死んだだろう。
 ヨハンたちは彼女を、本人も知らぬままに殺戮者にしてしまった。

(分かっていたはずだ。人間が同じ人間を利用すればもう悪党でしかないって。なのに、今さら迷うなんて身勝手すぎるじゃないか)


「やめて!」

 高らかなソプラノで我に帰る。調が小日向未来の前に勇んで進み出ている。

「きりちゃんは仲間。わたしたちの大切な」
《仲間と言いますか? 月読調、ヨハン・K・オスティナ》

 未来の通信機をスピーカー代わりにウェルが語る。今やどう聴いても不愉快さしか感じない声だ。

《仲間と……言い張るのですかァ? 僕たちを裏切り、敵に利するあなた方がッ》
「違う!」

 叫びの主は、風鳴翼の腕から下ろされた切歌だった。

「あたしが二人にちゃんと打ち明けられなかったんデス…あたしが二人を裏切ってしまったんデス…!」
「切歌…」

 もはやヨハンも調も武装組織フィーネにとっては裏切り者に等しいのに、違うと、自分のせいだと訴えてくれるのか。

「きりちゃん! ドクターのやり方では弱い人たちを救えない。だから、今からでも!」
「調……」
《そうかもしれません。何せ我々はかかる災厄に対してあまりにも無力ですからね。シンフォギアと聖遺物に関する研究データはこちらだけの専有物ではありませんから。アドバンテージがあるとすれば――せいぜいこのソロモンの杖ッ!》

 禍々しい光条が、この海域にいた全ての米国艦隊を薙いだ。そんなことをすれば、当然、ノイズがどの艦にも出現する。
 それを止めるためにこそ、ヨハンは、調は、あそこで飛び出したというのに。

 遠い悲鳴が、多くの人間がノイズによって死に追いやられていることを、ヨハンに思い知らせる。

「クソッタレが……!」

 クリスが走り出し、高く跳んでガトリングとミサイルを乱射しては、ノイズを退けていく。その様に安心している自分がいるのを、ヨハンは自覚していた。

(こんなに弱くなった心じゃ、もう組織には戻れない。けれど、今さら日本側にも付けない。ならもう、調を連れてここから逃げるしかない)

 ふいに未来が何かに気づいたように顔を逸らし、展開していたミラーデバイスを脚部装甲に戻して、飛び去った。

 チャンスは今しかない。

 ヨハンは調へと駆け寄ろうとした。

 その時、海に水柱が立った。
 日本側の援軍だ。それも
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