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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二二幕「すれちがい、宇宙」
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。一零停止準備。機内減圧を開始せよ』
『了解。一零停止、カウント10秒前。8……7……6……』

 予定では一零停止でとどまった後、セシリアはクイーン・メアリ号内部に搭載された量子化機能によって有人飛行可能な宇宙ステーション『カリバーン』を設置し、異常がなければ衛星軌道の安定速度に乗せて撤退する。
 以降、これから続く宇宙飛行士が上がる度に同行しては手伝いをすることになる。

(宇宙の滞在期間は長くてあと数時間といった所ね。今回の宇宙活動データを持ち帰って計画をより完全にしなければならないし……)

 まだ上がって数分だというのにもう帰ろうとしている自分に苦笑する。
 まだまだ自分は地球の引力に縛られて――


 ――墜ちろ――


「ッ!?」

 瞬間、セシリアは直感的にメアリ号を緊急機動でその場から退避させた。

 直後――ガゴォンッ!!とメアリ号の船体に『何か』が命中して視界に警告や警報が躍る。

『何だ!?セシリア、何があった!!』
『言葉が、奔った……?』
『セシリア?………おい、セシリア!!』

 今、セシリアは確かにこの漆黒の真空空間を意識のようなものが駆け回るのを感じた。
 無機質で作業的な、非人間的な気配がこの宇宙のどこかからこちらを見ている。

『セシリア!!状況を報告しろ!!』
『………船体に何かが接触しました』
『何だと……?計算ではそこに宇宙塵はない筈だ。隕石か?』
『いいえ、敵です』
『敵だと?馬鹿を言うな、そこは宇宙だぞ!エイリアンかインベーダーでもいるというのか!第一、メアリ号との連動レーダーは何も――』
『――来るっ!!』

 再び、破壊の意識が宇宙を奔る。セシリアは、今度は完全にメアリ号をPIC操作で回避。
 明確な敵意を持って放たれた『何か』を回避して、全神経を『戦い』へと注ぎ込んだ。

『………狙いすましたような動体反応、まさか本当に敵がいると言うのか!?この宇宙にッ!?』
『――お姉さま!!何が起きたのですか!?つららは心配すぎて勝手に回線に割り込んでしまいました!独断です!ドグマです!!』
『静かになさい、つらら!!』

 地上ならば貴重な情報足りうる集音センサも、音が伝播する空気がないのでは役に立たない。
 それどころか人間の足元にあって当たり前の地上がない宇宙空間では距離感が狂い、平衡感覚などもはや役にも立たない。そんな環境下でセシリアが敵の攻撃を正確に回避できたのは、僥倖としか言いようがない。

『……せっかく人類がここまで来たというのに何故邪魔をするの、アニマス!!』

 未知と危険に満ちた宇宙空間からこちらを狙う所在不明の敵を睨んで、セシリアは咆哮した。

 自分が何故、未知の相手を『アニマス』と――セシリア
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