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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二二幕「すれちがい、宇宙」
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という感覚なのかもしれない。
いずれ人類が宇宙に進出して外へと希望を求めていくときに、果たして地球は心の拠り所たりうるのだろうか。人類が人類たるメンタリティは、宇宙という環境への適応によって変化するのかもしれない。
――もっとも、それが明らかになるのはずっと先の出来事になるだろうが。
そう、そのような未来を齎すための宇宙開発であり、今の自分だ。いつか人類が
宇宙
(
そら
)
へと続く為の先駆けとして、新たな歴史に「セシリア」の名を刻んでおこう。
『そろそろ予定宙域なので、集中します。お喋りの時間は終わりにしましょう?』
『了解した。コースを外れないように注意せよ。
宇宙塵
(
デブリ
)
にでもぶつかったら大変だ』
『分かっています。あんなものにぶつかればさしものISも無事では済まないでしょうしね』
ここでいう
宇宙塵
(
デブリ
)
とは壊れた人工衛星やシャトルの残骸が地球の衛星軌道上に乗った物だ。その速度は秒速7〜8キロと言われており、時速に直すと三万キロオーバーという恐ろしい速度で地球周辺を飛び回っている。
なお、参考までに述べるとピストルやライフルの弾丸は時速3ケタ止まり、弾道ミサイルでも時速2万数千キロ止まりである。つまり宇宙塵が命中するというのは、弾道ミサイル以上の速度で迫る弾丸が体に命中するようなものなのだ。
一応ながら白騎士事件での白騎士は弾道ミサイルの撃墜という滅茶苦茶な真似をやってのけたが、あれは本来無理なのだ。実行するには弾道が全て予測できる状態で綿密な計画を立てて万全のバックアップを受け、尚且つ荷電粒子砲の射程を大気圏外ピンポイント狙撃が可能なエネルギーと射程を兼ね備えて――それでやっと「限りなく不可能に近い可能」まで持ってこられる段階なのだ。
時々弾道ミサイルも斬ったと勘違いしている人がいるが、そんなことをしたら白騎士は時速3万キロの速度で様々な高度から飛来するミサイルを斬るために猛烈な勢いで上下を飛び回っていたことになる。
そうするとどう考えても人体の反応速度と対G限界を超えているし、そんなことをしたら仮にミサイルを全部撃墜できたとしても人類史上かつてない衝撃波の絨毯爆撃で首都直下のガラスと都民の鼓膜は壊滅である。ついでにミサイルの破片が降り注いで阿鼻叫喚だ。
(そういえば、白騎士事件の概要はあくまで日本政府の見解と篠ノ之博士の自己申告、後は現場映像の一部しか情報がない………果たしてこうなると、『白騎士事件は本当にあったのか』が疑わしくなって来たわね)
……随分思考が逸れてしまったが、今はそれよりもやるべきことがある。
現在のセシリアはお気楽な学生ではなく連合王国を代表する宇宙飛行士であり、やるべき大義がある。これ以上余分に思考を裂く贅沢は許されない。
『そろそろ目的地点に到達する
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