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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二二幕「すれちがい、宇宙」
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雑音が何一つなく、静かで……ただただ、在るがままに刻が流れていく。まるで世界が止まってるみたい」

 ごろりと氷雪の上に寝転がった少女は、雲に覆われた空の下でぽつりと呟いた。

「このまま、世界から置いてけぼりにされれば………それも幸せなのかな」

 連合王国が宇宙船を発射するまで、もう少しだけ時間がある。
 その僅かな時間だけ――ここで世界から取り残されていたい。



 = =



『Three』

 今、この瞬間に世界そのものが注目するイベント。

『Two』

 その、最後のカウントダウン。

『One』

 この瞬間を、一体何人の人間が待ち望んだだろうか。
 セシリアにとってはこの僅かな時間が無限の長さにも感じるほどだった。

 管制から届く言葉に全神経を注いでいたセシリアは、ゆっくりと、しかし確実にコックピット内の発進プログラムに従ってレバーを押し込んだ。

「……イグニションシークエンス、スタート!『クイーン・メアリ号』、リフト・オフッ!!!」

 瞬間、『クイーン・メアリ号』のエンジンが爆発的な推進力を噴出し、船体に大きなGが圧し掛かり、ISの対G機能とPICでも殺しきれない重量が圧し掛かる。これがIS由来でないない宇宙船ならばかかるGもこの程度では済まなかった筈だ。だからこそ、この宇宙船ならばセシリアの身体でも宇宙へ昇れるのだ。

 今になって気付いたが、IS技術による加速ということは原理的には瞬時加速と似た系統で持続力のある加速方を使うのは当たり前だ。つまり、風花の噴射加速の技術もロケットに流用されていたのかもしれない。セシリアも設計図くらいは見たことがあったが、あの頃はまだ男性IS操縦者の話も出てい無い頃だったから忘れていたのかもしれない。
 つららの言っていた技術提供とはそれか?と、場違いながら推測したセシリアは、地球に戻ったら聞いてみようと決めた。

「く、うううう……!時速15000km……18500km……23000km……!!」

 速度計の数字が日常生活ではまず見ない速度に跳ね上がっていき、地上が、雲が、目まぐるしい速度で遠ざかっていく。通常のロケットが人工衛星を軌道に乗せるには時速28,440kmの速度が必要とされる。地球の引力を完全に脱するには更なる速度が必要になるが、この宇宙船はあくまで新型宇宙ステーションを設置するためのものであることと、宇宙空間に出た後の減速を計算に入れ、尚且つ性能パフォーマンスの為にある程度は不要な加速を行う。

 宇宙空間では重力の縛りがないため、速度をつけすぎれば二度と地球へ戻れなくなる。だが、ISのPICで慣性制御を行えば速度調整も加減速も思いのままだ。地球では単に空が飛べる程度の機能でしかなかったこれが、如
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