解かれる結び目 7
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「人間には象徴があれば良いのだよ! たった一つでも目に映る確かな標があれば、人間は安心してすがり、頼れる! 偽りだろうと本物だろうと! 確かに在りさえすれば、それだけで救われるんだ!」
大神官が言ってる内容は、多分間違ってない。
神殿の権威の保持は、確かに人間の心の支えになる。
敷地の外でも礼拝に訪れる人間が途切れてないことがそれを証明してる。
でも。
「虚飾は一時しか効力を保てない! 偽りの皮が剥がれたら待っているのは手のひらを返した絶望と怒りと嘆きだけ! 尊敬は侮蔑に。信頼は拒絶に。神殿は全面的に人間の憎しみを買うでしょう。そのすべてを背負う覚悟が、貴方にはあるの!?」
「少なくとも女神マリアが本物であれば求心力に問題はない! 誰もお前の言葉を疑いはしない! 疑わなければ、偽りも真実も同じなのだよ!」
無茶苦茶だわ……
こんなのが、人間が求めている神の姿なの!?
神々の意思なんて、初めから無いも同然じゃない!
「……権威を落とさず、神々の指示通りマリアを旅へ連れて行く方法、か。無くもないな」
「な!?」
「え?」
ホリードさんが顎に手を当てて、ぽつりと呟いた。
それに、コーネリアさんとウェルスさんも頷く。
ホリードさんが「うんうん」と、何かに納得した様子で私に笑いかける。
「じゃ、ちょっと頑張ってみようか? マリア様」
……え……?
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