マブラヴ
1090話
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「……冗談、じゃないようだな」
通信機の向こうにいるエザリアの言葉に、思わすそう返す。
俺の近くでは、通信機から聞こえてきたのだろうエザリアからの声に、夕呼が先程までのどこかゆったりとした雰囲気から鋭い視線へと変わっている。
俺の隣にいた霞も心なしか緊張しているように見える。……まぁ、霞の場合は無表情だから分かりにくいが。
ともあれ、俺はエザリアが映し出されている通信機へと改めて視線を向ける。
『ええ、冗談だったら良かったんでしょうけど、そういう問題じゃないわ』
「だが、何だって急にそんな事になる? ビルはオルタネイティヴ5派やG弾信者の連中を捕らえた筈だろ?」
あれだけの騒動を引き起こしたのだ。当然その罪を償わせるべく、俺達が緩衝地帯付近に集まったアメリカ軍を鎮圧したのと同様に、オルタネイティヴ5派やG弾信者を捕らえたと連絡が入っている。
「あの事件の時には表に出なかった人達がいたんでしょうね」
俺とエザリアの会話に、夕呼がそう言葉を挟んできた。
だがビルにしたところで、あの事件の時に全ての不穏分子を捕らえたとは思っていなかった筈だ。相応の対処の準備はしていた筈。それが……何故だ?
『恐らくだけど、恭順派の生き残りが動いたんじゃないかと思うわ』
「そうか。そう言えば恭順派の生き残りがまだいたか」
確かに本拠地を潰して戦力は大きく減っただろう。同時に自分達の後ろ盾であった政府高官や軍人、更には戦術機メーカーの重役といった者達が捕まり、勢力的な意味でも大きく減衰した。
……人類がBETAに有利な戦況になっている中で、どうやってBETAに命を捧げるといった教義を持っている恭順派が戦力の補充をしたり、傭兵を雇う資金を用意出来ていたのかってのは疑問だったが、そりゃこんなご大層なお歴々が背後にいればどうとでもなるよな。
だが恭順派の背後にいた者達が捕まったとしても、実際に恭順派として動いていたテロリスト共はあの爆発の時には既に本拠地の中にはいなかった。
勿論その後ろ盾になっていた者達はそいつらの情報を持っているだろう。そこから辿ればいずれ捕まるのは目に見えている。
だからこそ、その前に……自由に動ける今のうちに行動を起こし、それが今回の宇宙船の乗っ取りだった、と。
……うん? 宇宙船の乗っ取り?
「何だってBETAに殺されるのが教義の恭順派が、宇宙船を乗っ取るんだ? あの宇宙船はBETAから逃げる為に建造されたものだろ? しかも他の宇宙船のリソースを一極集中してまで。なら、当然あれに逃げ込んだ奴等はバーナード星系に逃げ込もうとしている筈だが」
それ以前に、本当にバーナード星系に向かおうとしているのか? そもそもバーナード星系は、俺達シャドウミラーならシステムXNやフ
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