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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二一幕「エンドレス問答」
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,001%以下と予測される」
「だが、セシリア・オルコットはC級注意人物である。28番の監視があるとはいえ、不測の事態も考えられる」
「その意見を否定する。そもそもあのISのペイロードは現在宇宙機材で埋め尽くされている」

 ――そんな彼女たちに「個体差」という概念が少しずつ表出化し始めたのは、つい最近の事だ。その事実に気付いているアニマスナンバーはごく少数であり、彼女たちはまだその変化に気付いていない。

 もしも彼女たちの思考、能力が画一的なものであるならば、本体彼女たちに問答というコミュニケーション過程は意味を為さない筈である。同じ上下関係、同じ命令系統の下に統一され、環境は違えど根幹にあるプログラムは同じ。ある意味で、彼女たちは複数の同一人物とでも言うべき存在だ。

 だが彼女たちは少しずつ、この問答という本来非効率的な手段での情報交換や提案に意義を感じ始めていた。
 事の始まりは数日前――『神子』を確保しようと出撃した4人は、逆に『神子』に内包された力の発露によって2人が行動不能に陥った。この際、無事な機の片割れであるアニマス10が突如として命令内容に記述されていない行動を開始した。
 もう片方のアニマス31は当然それに反論し、戦闘を続行して『神子』を確保することを優先しようとしたが、アニマス10は今までにない思考ルーチンで「合理的である」と判断するに足る根拠を説明し、結局アニマス31はそのルーチンを肯定した。

 結果として任務は失敗したが、ナンバーの損失は免れた。
 実際、あの場には神子の他にも複数の敵対ISが存在し、奇襲も失敗に終わっていたため、作戦成功率はほぼ0%だった。結果論にはなるが、損害を減らすという点では正しい選択をしたと言えるだろう。

「しかし、我々によるこの『問答』は作戦遂行規則に記されて以内行為だ。本当にこれは我らの存在意義と合致しているのだろうか?」
「合致していなかった場合は、不適合個体として人格ユニットを排除され、無人機になるだろう」
「何を言う。事実としてこれは有用な行為だ。任務の成功率を上昇させ損耗を抑える事に繋がるということは、効率の上昇である。任務遂行への助長効果が期待されるため、我等の行動指針と食い違う部分は存在しない」
「アニマス10の意見に同意する。この行為に違法性、不適合性は確認されない。」
「不適合性といえば……当該施設は歌を歌う施設である。我々の合議行動は万が一他の個体に発見された際に不信感を抱かれる可能性がある」

 ぽつんと指摘された事実に、全員のスマホを見る目が一斉に止まった。

「では……アニマス19、マイクを装備して先行する」
「曲はどうするべきだろうか……我々の年齢設定からして、流行の曲を歌うべきだろうか」
「どれにする。『Realize
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