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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
第百二一幕「エンドレス問答」
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!?どうしてそんな昔の驚異の尻拭いに私たちの娘が駆り出されなければいけなかったの………」
花琳とて分かってはいる。ゆっくりと時間をかけて、鐘音は一族の使命やお告げの内容を自分なりに分析して、少しずつ彼女に説明した。知識では分かっているのだ。それでも認められないのは、彼女が母親であるからだろう。
「………そろそろ空港に行こう。あの子を出迎えるまでに、泣きはらした顔を笑顔に戻さなければ」
「勝手だわ……鈴もあなたもこの世界も、みんな人の話なんて本当は聞いていない………」
乾いた大地に響いたその呟きは、虚しく霧散していった。
= =
もしも永遠に醒めない夢があるとしたら、現実と夢にはどんな違いがあるのだろう。
夢の中で一生を終えても、現実で一生を終えても、感覚とてはそこに違いなどない。何故ならば夢の中には自分を騙すほどのリアリティを内包しているからだ。自分が現実だと思っている者が幻でないとは言い切れないし、その逆もまた然り。つまり、夢の中にこそ現実では見つからない真実を見いだせるのかもしれない。
鈴もまた、夢の中に真実の片鱗を感じ取った。
「飛行機に乗るの、これで何回目だっけ……中国に戻った時の飛行機、ファーストだったっけ?エコノミーだったっけ?」
その答えは簡単で、「覚えていない」、だ。両親の話によると鈴は中国に行く前に高熱を出し、ずっと寝ていたらしい。寝ている間にいつのまにか飛行機に乗って中国に渡り、家までついていたという訳だ。
今になって思えばあまりにもおかしな話だった。幾ら高熱が出たからと言って、子供ならともかく、中学生だった鈴の記憶がそんなに簡単に抜けるだろうか。
「やっぱり……パパもママも何か隠してる。今になって思えばあの時のジョウもそれに気付いて……」
IS学園に辿り着いて直ぐの頃、ジョウと両親の話をした時や一夏の話をした時、両方とも一瞬だけ話が噛みあっていなかった(第十九幕参照)。
窓の外を眺めながら、鈴はひとりごちた。手は無意識に右手首に嵌めたブレスレットを弄っている。彼女の専用IS、甲龍………だったものだ。
韓紅花
(
からくれない
)
色の落ち着いた装飾だった筈のそれは、いつの間にか
橙
(
オレンジ
)
と金を基調とした高価そうなデザインに変貌している。
「これも、夢の声の仕業かぁ………ISの構造を変化させて強化するなんて、途方もない存在よね」
甲龍は、鈴の意志に関係なく「二次移行」に近いことを起こした。
それは、「内に眠る意志」が完全にISより上位の存在であることを指し示している。
鈴の予想が正しければ……それは、現在鈴の心臓となって存在している筈だ。
――鈴の見たあの光景が幻想でないのならば。
鈴は、これから両親に
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