第三十話 平野大尉!コックは衛生第一!!その十三
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その二人にだ、瞬は呆れ果てた顔を向けて声をかけた。
「ちょっといい?」
「ああ、早いな」
「もう来たのかよ」
二人はその瞬に素っ気なく返した。
「もっと後からって思ったけれどな」
「予定時間にはまだ早いぜ」
「俺達はちょっと水族館を見て回ってたけれどな」
「あんた達もそのつもりか?」
「見学は勝負の後で、って考えてるわ」
瞬は二人にこう答えた。
「今のうちに来てどんなキッチンと食材なのか見ようって思っていたのよ」
「私もだ」
平野も言う。
「それで大将と共に来たのだが」
「ああ、だからか」
「いつもながら日帝衆の人達は真面目だな」
「俺達はさっきまで見学してたけれどな」
「楽しいぜ、ここも」
鳥羽水族館の中の生きもの達を見ることがというのだ。
「結構以上にな」
「ラッコもバイカルアザラシもスナメリも可愛いしな」
「マナティーやオットセイもいて」
「楽しめたぜ」
「それは何よりね」
「その動物も皆俺達を汚物を見る目で見てくれたけれどな」
「中指突き立てる感じでな」
鳥羽水族館でもそうであった、動物達の対応は。
「ガン飛ばしてきてな」
「ラッコもアザラシも」
「死ねっていう目だったな」
「どう見てもな」
「俺が殺したいって目だったな」
「ドチザメやネコザメもだったな」
海の底で動かないことも多い鮫である、鮫でも常に動いていなければならない鮫ばかりかというとそうでもない。
「蛸までそんな目で見てくれたな」
「あの蛸たこ焼きにしたくなったな」
「全くだぜ」
「ミズダコは人殺すことあるらしいがな」
「蛸に殺された人間より蛸を食った人間の方が多いんだよ」
「特に大阪だとな」
そのたこ焼きにしてだ。
「たこ焼き美味いぜ」
「蛸は食うものなんだよ」
「それを殺してやるって目で見てくれるなんてな」
「この水族館は躾なってないだろ」
「生きものの躾位してろ」
「ふざけるんじゃねえよ」
「というか水族館の生きものにまで嫌われてるうのね」
瞬は二人のそのことに呆れていた。
「ある意味凄いわね」
「そんな凄さなんていらねえよ」
「ヒーローを何だと思ってるんだ」
「俺達は主役だぞ」
「主役にガン飛ばすなんだいい度胸だ」
「覚えていやがれ」
主役にあるまじき台詞まで言う始末だった、だが。
その二人にだ、瞬はあらためて声をかけた。
「そろそろ勝負に移らない?」
「ああ、そうだったな」
「俺達ここに勝負に来てるからな」
「じゃあやるか」
「勝負はじめるか」
「じゃあ料理対決な」
「今からやるぜ」
こう話してだ、そのうえで。
二人は懐から包丁を出してだ、こうも言った。
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