6部分:第六章
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第六章
「柵の上から見るんだよ」
「柵の上から?」
「そう、柵の上からね」
見るように話すのでした。
「見た方がいいよ」
「どうしてなんですか?」
「危ないからね」
だからだと。クワちゃんに教えてあげるのでした。
「草のところにいたらね」
「危ないんですか」
「お馬さんにしろ牛さんにしろ大きいよね」
「はい」
これはクワちゃんにもよくわかることでした。アヒルの、しかもまだ子供のクワちゃんから見てお馬さんも牛さんも豚さんもとても大きいです。それこそ仰ぎ見る位です。
「だからね。踏まれたら危ないから」
「だからなんですか」
「そうよ。だから柵の上から見る方がいいよ」
そしてまたクワちゃんに教えてあげたのでした。
「わかったね」
「わかりました」
クワちゃんはここでも素直に頷きました。
「それじゃあ柵の上から」
「柵の上には昇れるかしら」
「はい、あれ位だったら」
クワちゃんは今度は柵を見ながらおばさんに答えました。
「いけます」
「わかったわ。それじゃあね」
「おばさん、有り難うございました」
クワちゃんはおばさんに向かいなおして深々と頭を下げました。
「それじゃあ今から行って来ます」
「うん。それじゃあね」
こうしてクワちゃんは猫のおばさんと別れてそのうえで牧場の柵の上によじ登りました。思ったよりも素早く動いてそのうえで辿り着いたのでした。
「さて、と」
クワちゃんはその柵の上で待っていました。すると暫くして。牧場の中に大勢の牛さんや豚さん達が入って来ました。犬のお兄さん達も一緒です。
「さて、今日も食べようか」
「そうだね」
牛さん達はのどかな調子でこんなお話をしていました。
「草をたっぷりとね」
「食べようか」
「わし等の餌は何処かな」
「あそこだよ」
豚さん達は豚さん達で牧場の端の方を見ていました。
「あそこにあるから」
「そう。それじゃああそこに行ってね」
「今日も食べようか」
「そうしよう」
こんなことを話しながらその餌がある方に歩いていきます。牛さん達も豚さん達もそれぞれのどかにそれぞれの御飯を食べながら過ごしています。
その風景を見ながらクワちゃんは。ぽつりと呟きました。
「あれっ、牛さんは草を食べているのに」
まずは牛さんを見ました。見れば牛さん達は牧場の草や用意されて積まれている草を食べています。けれど豚さん達はというと。
牧場の端の方に置かれた何か色々と入ったものを食べています。それはクワちゃんから見ると何が何なのか全くわからないものでした。
「あれは何かな」
クワちゃんは豚さん達が食べているものを見ながら首を傾げさせました。
「豚さん達が食べているものって」
「あれっ、アヒル?」
ここで人の
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