第五話:予期しなかった幸運
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た男の拳がめり込んだからだ。
思わぬ不意打ちに受身も取れず、と言うより先の一発で既に失神し、派手目なナンパ男は大の字になって倒れる。
「はっ……ちょっ……お、お、オイオイオイ! こっちは二人がごべっ!? ちょまってへべん!?」
「ま、待ってくれるぐらい良いだろぼろご!!」
文句を言いつつ近寄って来た禿頭頭の男へワンツーパンチをかましたかと思うと、拳を振り切った勢いそのままに後ろへ左ソバットを打ち込んで、二人共を簡単にのしてしまった。
それでも何とかヨロヨロと立ちあがった二人は、絶賛気絶中な仲間を二人係で抱え起こし、目の前の灰色髪の男を睨みつける。
「て、てめぇ! 今度会ったら―――」
「……あ゛?」
「なななななななんでもありませーーーん!?」
しかし肉食獣が如き恐ろしげな眼光を向けられ、チビりそうになりながらと言った感じで悪質なナンパ男達は逃げ去っていった。
少しの間辺りは静まり返っていたが、一番最初にとある少女が動いた事で、停まった様な空気が動き出す。
「に、にいちゃん……兄ちゃーん!」
「麟斗さん……!」
大分我慢していたのか、少々涙を浮かべながら楓子が現れた人物・麟斗の胸へと飛び込んだのだ。それに舞子まで続く。
「……おい」
「うう、うぅっ……」
「ほ、ホント、来てくれて良かったよ……兄ちゃん……!」
「……ハァ〜……」
最初こそ表情へ若干煩わしさを浮かべ、両手を上げ掛けていた麟斗ではあったが、本当に震えて頑なに話そうとしない二人を見て、溜息を吐き渋々手を下げている。
周りの楓子の友人達も近寄り、御礼を言いながら彼に頭を下げている、それに対して麟斗は何時も通り寡黙に「いや……」とだけ言って返した。
周りからも小さいながらに歓声が起こっており、一先ずナンパと言う名の強姦モドキから発生した小さな事件は、解決へと向かったのであった。
そしてその日の帰り道。
途中まで道連れだった舞子と別れた二人は、神社への階段を上がっていた。
「ねぇねぇ兄ちゃん? それなりに嫌がってたのに来てくれたんだ?」
「仕方無く……な」
「もう、照れなくってもいいのに? 可愛い妹が心配だったんでしょ!」
「お袋の画策で、服が無かった……その代わりだ」
「またまたぁ、照れ屋さんなんだか―――――何でもありませんですハイ」
調子に乗ってすり寄ろうとした瞬間、彼等が父親である吉岡京平にも迫る、恐ろしき眼に射竦められ、楓子は即行で取り下げた。
だがそれでも尚、楓子は嬉しかった。
何せあの時絶妙なタイミングで助けに入って来てくれたのだ、それは正にとあるフィ
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