第五話:予期しなかった幸運
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うって」
彼女達が何度断ろうともしつこく、ナンパにナンパを重ねて話しかけて来る男達に、楓子達はどうしようもなくただ俯き、ただ震えている。
だが追い払えないのも無理はない。設定上では幾らでも強い力を作れても、姿をキャラクターそっくりに出来ても、やっぱり唯の女子中学生なのだから。
更に彼等の顔は凶悪な作りで、服装もどことなくアウトローと言った感じであり、恐怖からか店の人も周りの通行人も助けようとしない。
警察に届け出ることでもないからか、もしくは目を付けられたくないからか。
「なあこの子らさぁ、服とか髪とかお揃いで可愛いくね?」
「おっ、確かに! ねぇ君等双子とか? あ、姉妹だったりする?」
「あ、ちょっと……!」
「うぅっ……」
昨日今日出会ったばかりで碌に接点が無いにも拘らず、馴れ馴れしく話しかけるだけならまだしも、肩に手を置いたり髪を触る物まで出始め、1人既に泣きだしてしまっている。
だがそれを見ても―――
「あれ? 何でおれに障られたのそんなに嬉しかった?」
「いいじゃんいいじゃん、なら是非一緒に行こうって!」
「そんなに可愛いんだしよ、遊ばなきゃ損だぜ?」
何を勘違いしているのかより楽しげになり、手まで握ってくる始末。
話を聞かない事、強引に迫った来る事、見た絵による利点が重なり、もう手に負えなくなっていた。
(ど、如何したらいいの……こんな奴等と一緒なんてやだよッ……!?)
「じゃあ行こうよ! ほら、リードしてやるからさ!」
「レディーファーストなんだぜコイツ? ラッキーガールじゃん」
「や、やめてくださっ……ひっ」
「大丈夫大丈夫! さ、手をこうやって」
一歩引いて悪足掻きにもならない抵抗をした楓子と、動けなかった舞子へ、三人の中で一番派手な服を着た男の手が迫り――――
横から伸びてきた、別の手に掴まれた。
「えっ……?」
「は? ―――ってうおっ!?」
訝しげにナンパ組の内一人が見てみれば、自分達と同じぐらい背丈の高い男が、何時の間にやら傍におり、三人とも大なり小なり驚いた。
灰色の髪、赤い目、黒いコート、明らかに普通じゃあない人物がそこに居たのなら、誰だって驚く。
ナンパしていた男達は最初、眼付きの悪さから自分達にも似た人種なのかと思ったが、よく見れば少女達と同じアニメかラノベのキャラコスプレであり、そう分かるや否や口もとを歪めた。
「おいおい、女の子の前で格好付けたいってか? それとも不意に手が出ちゃっ―――」
そこから先は喋れなかった……いや、喋らせてもらえなかった。
何も言わずに繰り出された、灰色の髪をし
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