第五話:予期しなかった幸運
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謝り倒して慰め合いの末、何とか空気が柔らかくなり、それぞれ話題を出して談笑と洒落込み始めた。
―――先程一人が楓子の兄を “先輩” と称した事から分かる様に、彼女等はネットで繋がったコスプレ中までは無く、学校に集うクラスメイト間でのオタク仲間達なのだ。
正確に言えば楓子が押しに押して『エレメント]V』の魅力を伝え、オタク文化を普及……とまでは行かないがそれなりに広め、今日は特に興味を示していた者たちで集まって、コスプレパーティーをしようと計画していた訳である。
ウィッグだけでなく衣装にカラーコンタクトに軽いメイクなど、それなりに本格的なコスプレをしており、楓子の一番の友である舞子がコスチュームを沢山持っていた為、これ幸いにと利用して更に後押ししたのも、彼女等の間で来ずプレブームに火を付ける一端となっていた。
皆の容姿の整いようから似合っていると言う事も、原因足る要因になるだろうか。
「それにしても……別に責める訳じゃないけどね? 吉岡先輩の『黒崎水城』みてみたかったな〜」
「絶対似合うもんね、先輩。髪の毛が灰色だから余計にそう思っちゃう」
「なんていったらいいんだろ……あの、何処か別の場所を見てるみたいな視線もピッタリだし」
「うん……絶対に似合うから、来てほしかったけど」
「ホントごめんね皆ぁ……もっと強く説得すれば良かったんだよ、アタシ!」
言いながら楓子は、あるちょっとした危機感を覚えている。
今し方話をした四人の内二人は純粋に興味から言っていたが、舞子ともう一人は頬を軽く染めていた。
クラスメートの一人は兎も角、舞子は若干ウットリとしている。
常日頃から麟斗は楓子の事を “異常にモテる奴” だの、“引く手数多な選り取り見取り” だの言っているが、楓子からしてみればそれは彼に対しても同じ事だと言えた。
素で気が付いていないのか、それとも気が付いていないフリをしているのかは分からないが、少なくとも楓子のクラスメイトの内、少なくとも四、五人は彼に淡い恋心を抱いていると、彼女はそう確信している。
案外少ないと思われるが、しかし別のクラス……否学校全体まで目を向ければ、その総数はより大きく膨れ上がるだろう。
また、一番上の兄を引き合いに出されている所為で分かり辛いが、座学は一歩抜きんでて上位陣に迫れているし、運動面に関してはその何でも超人な長男にも匹敵する。要は周りの教師達が以前、余りに優秀な生徒である彼女等の兄を見てしまったせいで、比べる対象が可笑しくなっているだけなのだ。
彼自身は満足いかないようで『良くも悪くもない』……と自己評価を下してしまっているのが、実に勿体ない所である。
教師達が彼を下に見る理
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