第3章 リーザス陥落
第47話 モチベーションup
[5/19]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ん?」
志津香はつい、昔の呼び方になっていたが……、戻そうとはせずに続けた。
「ねぇ。ここは、……カスタムは、私にとっても大切な場所。大変な事、前にしてしまったけど……、それでも 色々な思い出が詰まってる大切な故郷……」
「……ん。そうだな」
志津香の言葉にユーリは頷いた。そして 志津香はユーリの顔を見て、そして 俯かせて訊いた。
これは、訊きたかった言葉だ。だけど、カスタムの誰にも訊く事が出来なかった。心配をかける訳にはいかないし、言葉にもしたくなかった。……自分の弱い部分を見せて心配をかけたくなかったんだ。
だけど、この男になら、ユーリになら、自然と志津香は訊けていたんだ。
「……私達勝てる……よね?」
勝つとしか、考えていなかったんだ。いや それ以外を考えない様にしていた、と言う方が正しいかった。
「……」
それを訊いたユーリは、俯きがちな志津香の頭を軽くこついだ。軽い衝撃が志津香の頭に起こる。
「んっ! な、なにをっ」
「心配するな」
「え……?」
この時、志津香は、ユーリの顔を見た。
その顔は笑っていた……。その顔は、そう、志津香は何度も見た事がある。あの幼い頃の記憶を思い出しているのはユーリだけじゃない。……いつも、そうやって自分を見てくれていた目。そうやって自分に笑いかけてくれた顔だった。安心できる顔だった……。
「勝てる。カスタムは守れる。……守ってみせるさ。必ず」
「………」
志津香は、その顔を、暫く。いや 少しだけ 魅入ってしまっていた。
あの時と何ら変わらない安心できる笑顔を。……変わらない、変わってないと言ったら ユーリに怒られるかもしれないけど、そう思わずにはいられなかったのだ。
「相変わらず……、ね」
「うん?」
「いいえ。……ありがとね。ゆー」
志津香は帽子の鍔を持ち 表情を見られない様に軽くかぶると、そう呟いていた。
作った拳を、ユーリの胸の部分に軽く拳を当てて。
「良いのか? 呼び名……昔に戻ってるぞ?」
「……そうね」
ユーリはそう言うけれど、志津香は何も介さなかった。普段ならパンチか脛蹴り、踏み抜きが来そうな気がしたが。何も来ない。だからユーリは笑っていた。
そして、後少しで、ユーリの肩と志津香の肩が触れ合いそうな距離。
彼の肩に、自らの肩を預けようと無意識にそうしようとしたその時だった。
“ごとっ!” っと、町の方で何やら物音が聞こえてきたのだ。
「ん?」
「……」
志津香は、何かに気づいた様で、さっと ユーリから距離を取ると、ゆっくりとした動作で立ち上がる。
そして 素早く町へと向かった。
町を囲う壁の裏。そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ