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第一章
アヒルの旅
アヒルのクワちゃんはとても元気な子です。今日もお父さんとお母さんの周りで元気に歩き回っています。
「ねえパパ、ママ」
「んっ、何だい?」
「どうしたの?クワちゃん」
「僕今このお家にいるよね」
クワちゃんの一家はあるお百姓さんのお家に飼われています。所謂ペットでいつも優しい牛さんや豚さんに囲まれています。犬のおじさんや猫のおばさん達は少し怖いですけれど襲ったりはしません。
「このお家に」
「うん、そうだよ」
「それがどうかしたの?」
「このお家ってどうなってるの?」
素朴な質問をしました。
「とても広いお家だけれど」
「さて、どうなってるのかな」
「お母さんもよく知らないわ」
この質問にはお父さんもお母さんも首を傾げてしまいました。お父さんもお母さんも今自分達がいるお池のあたりからあまり出たことはないのです。
「随分と広いお家だけれどね」
「どうなってるのかしら」
「パパもママも知らないんだ」
クワちゃんはそれを聞いて少し残念に思いました。
「パパとママなら知ってるって思ったのに」
「仕方ないさ。パパ達の小屋はここにあるんだから」
「お池もね」
アヒルの一家の小屋はお池の傍にあります。他には鶏さん達の小屋もあります。アヒルの一家と鶏さん達は卵を産む為にもお家で飼われているのです。
「ここにいれば御飯も貰えるし」
「それでいいんじゃないかしら」
「それはそうかな」
クワちゃんはお父さんとお母さんに言われてまずは納得しだしました。
「そんなものかな」
「そうだよ。じゃあクワちゃん」
「御飯。食べなさい」
そうして御飯を食べるように言われました。クワちゃんはその言葉には素直に頷きます。けれどどうしても思うのでした。お家はどうなっているのか。考えだすともういてもたってもいられないのがクワちゃんでした。とても好奇心旺盛なアヒルだったからです。
それで次の日お父さんとお母さんがまだ寝ている間にこっそりと家を出て。それでお家がどうなっているのか見てみることにしました。まずは鶏さん達がいる場所に向かいました。
鶏さん達はすぐそこで集まって寝ています。まだ朝が早くて皆寝ています。クワちゃんはそこを通ります。すると鶏の中で一番年上のお爺さんが起き上がって。
「あれ、クワちゃんじゃないか」
「お爺さん、おはようございます」
「また今日は随分と早いね」
お爺さんはその翼で目をこすりながらクワちゃんに言いました。
「まずはおはよう。けれどまだ鳴かないよ」
「どうしてですか?」
「だってまだその時間じゃないから」
だから鳴かないというのでした。
「まだね。やっと朝になったけれどね」
「そうですか」
「そうだよ
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