暁 〜小説投稿サイト〜
鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
35.それは違うぞ!
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
使命感は何よりも重い。どうかな?君もティズも、立たされている立場は同じように俺には思える」
「だったら!!……どうすればいいと言うのですか」

 縋るようで、消え入りそうな声だった。
人を傷付けるであろう決断と、自分が傷つく決断。その二つのどちらを選んでもどちらかの望む結果は得られない。究極の二者択一を前に、アニエスはとうとうリングアベルの「独り善がり」の意味を理解した。
 それは、自分の葛藤を他人も抱いてる可能性から目を背けていたこと。
 アニエスは、自分が最も嫌がっていた光景を知らず知らずのうちにティズに押し付けようとしていたのだ。確かにそこに善意や思いやりはあったのかもしれないが、その結果ティズがどう思うのかが抜け落ちたその理論は、確かに独り善がりと言われても仕方のない物だった。

 そして、リングアベルは迷える巫女に道を提示することが出来る。
 どうすればいいかって?そんなの決まっている。つまり、答えはこうだ!

「ティズがアニエスを護るために傷つくのなら、ティズを助ける冒険者がいればいい!!あるいは、君自身がティズを護ることだって出来るし、その場合冒険者はアニエスを助ければいい!!何の事はない――俺が二人に同行すれば万事解決だ!!」

 すなわち、それは助け合い。人間の最も基本的で、他に比類なき運命への対抗手段である。

 アニエスはポカンと口を開けて堂々と胸を張るリングアベルをぼうっと見つめ、エアリーは既にリングアベルをメンバーに入れるべきかどうかの打算を始め、ヘスティアとベルはというと――

「コラッ、リングアベル!!仮にもファミリアの主神であるボクを協力者のカウントに入れないとは一体どういう了見だい!?ああっ、ボクは悲しい!いくらダンジョンまで付いていけないとはいえ自分のファミリアに頼りにされないなんて、胸が潰れて死んでしまいそうな位に悲しい!!」
「せ、先輩!!何で僕が同行者にカウントされてないんですか!?確かに僕はまだ未熟かもしれませんけど、それでも女の人を見捨てて知らんぷりなんて出来ませんよ!!」

 ――そう、この二人もまた同じ結論に達していた。
 これがヘスティア・ファミリア。炉の神と呼ばれ人々の生活にぬくもりを与えてきた優しき女神が率いる、どこまでもお人よしなファミリアの在るべき姿だ。

「み、皆さん………!」
「ほら、アニエス。全部一人で抱え込むのは悪い癖だよ?」
「エアリーの言うとおりだ!……明日、改めてティズと話し合ってくれ。俺達は話が着くまで待つし、どんな結論に至っても君たちを護る所存だ。なぁ、二人とも?」

 白い歯を見せてサムズアップするヘスティアと、両手を握りしめてやる気満々のベル。そして、その二人の前でニヒルな笑みを浮かべるリングアベル。みんなどうしようもなくイ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ