3部分:第三章
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
ぬらりひょんは本当に忘れてしまっているおみよさんに対してそう言います。何か余計に腹が立ってきているという感じが伝わってきます。
「ずっと布団の中に入っておったな」
「そういやそうだったっけ」
言われて思い出したような感じです。
「三つ子の魂百までってわけだね。あはは」
「笑い事ではないわ」
ぬらりひょんはそう言ってまた叱ります。
「全く。恥ずかしいとは思わんのか」
「ちっとも」
「そこですぐに言い返すでないっ」
また怒っています。どうやらこの妖怪は結構短気なようです。
「真面目にキビキビと動こうという気にはならんか」
「いやあ、別に」
それではいそうですか、とあっさりと動くおみよさんではありません。そうだったら今こんなことにはなっていないでしょう。
「寝ても一生、起きても一生じゃないか」
そのうえでまたこう言い出します。
「大した違いはないじゃない」
「それで誰の迷惑にもなっていないというのじゃな」
「そういうことだよ」
「やれやれ」
おみよさんの言葉を聞いて嘆息せずにはいられません。立派な着物の下で腕を組みながらの深刻な感じの嘆息でありました。
「早起きは三文の徳という」
「それで?」
「話は聞くのじゃ」
教訓を交えた説教に入りました。
「そして勤勉は美徳じゃ」
「妖怪の言葉じゃないね」
「黙って聞け」
ぬらりひょんはまた叱ります。それから言い聞かせるのを再開します。
「それでじゃな」
「つまりものぐさなことは止めろって言いたいんだね」
「左様」
首を大きく縦に振って頷きます。大きな頭がそれで振り子みたいに動きます。
「わかっておるではないか」
「けれど動くのは面倒くさいね」
「あのな」
その額に青筋がくっりと浮かんできました。
「話を聞いておらんのか?」
「聞いてるよ、安心しなよ」
実に不真面目な様子で返します。
「けれどだよ」
そのうえでの言葉です。
「それでもあたしは動くつもりはないんだよ」
「どうしても嫌か」
「そうだね」
やはり言葉は動きません。
「それはね。変わらないよ」
「やれやれじゃ」
ぬらりひょんはそれを聞いてまた困った顔を見せてきました。
「折角わざわざ来てやったというのに」
「そもそもあんたが言うこと自体がおかしいよ」
おみよさんは逆にぬらりひょんにそう言い返します。
「何でここに来てそれを言うんだい」
「来て悪いか?」
「おかしくはあるね」
おみよさんはぬらりひょんの顔を見ながら述べます。
「妖怪なんだからさ」
「そう言ってしまえばそれまでじゃがな」
ぬらりひょんも自分でそれは認めます。
「しかしまあ」
ここで気持ちを落ち着けて部屋の中を見回します。
「思ったよりは散ら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ