2部分:第二章
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第二章
「しっかりとな」
「うん」
「父ちゃんもね」
「そうだな。今日は天気もいいし」
障子の方を見ます。見れば障子は日の光を受けて白く光っています。
「仕事のしがいがあるぜ」
「寝がいもあるね」
「やっぱりそれなのかよ」
「まあ行っておいで」
そう返して旦那さんの説教をかわしてしまいます。そして旦那さんも子供達も言ってしまった後で布団の中に潜り込んで寝てしまう。そんな毎日でした。
面白いと言えば面白いのですがやはり人としてはどうかです。それで旦那さんだけでなく周りの人もおみよさんにあれこれ言うのですがそれでどうにかなる人でもありませんでした。
「いいじゃないの」
自分で自分をこう言います。
「悪いことをしているわけでもないんだしさ。そうだろ?」
「いやね、おみよさん」
それでも周りの人達は彼女に対して忠告します。
「もうちょっと真剣にだね」
「働いちゃどうかな」
「真面目に働いてもものぐさに働いても死ぬのは一緒だよ」
そう言われるといつもこう言い返してくるのです。
「だったら適当に休んで生きるのがいいじゃないか。悪いことをしているわけじゃないんだしさ」
「確かに悪いことはしていないけれどさ」
「それでもね」
かといって納得するわけにはいかないのが現状です。だからこそ皆も言うのですがおみよさんは実に手強いのです。まさに暖簾に腕押しです。
「まあまあ」
そしてまた自分に対して言うのです。
「ここは穏やかに行こうよ」
「やれやれ」
「そう言ってまたすり抜けていくんだから」
こうしておみよさんは皆の言葉をかわしていきます。それでも旦那さんも子供達も周りの人も言うのですがどうしてもなおりはしません。相も変わらずのぐうたら人生です。
そうしたぐうたら、ものぐさな日々を送っていたある日。おみよさんは今日も昼間だというのに布団の中でぐうぐうと寝ていました。
「やっぱりお布団の中が一番いいよ」
そう言って布団の中で笑っていました。
「寝るが極楽ってね」
そのまま夜まで寝続けるのかと思ったら。急にお腹が空いてきました。
こうなっては寝るどころではありません。おみよさんは仕方なく布団から出て来ました。
そして家の中を探し回ります。何か食べ物はあるか。ところが狭い家の中にもこれといった食べ物はありませんでした。
御飯はさっき食べてしまいました。漬物はまだ漬けている最中です。お菓子も蜜柑も何もありません。気が付けば本当に何もないといった状況だったのです。
「ありゃ」
探し回って何もないので思わず声を出してしまいました。
「何もないのかい。これはまた」
お腹が空いては寝るどころではありません。さて、こうなっては何処かに買いに行くか自分で作るしかありません。
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