暁 〜小説投稿サイト〜
ものぐさ上等
2部分:第二章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
しかし自分で作るのも面倒臭い。どうしようかと思っていたその時でした。
「こら」
 急に何処からか叱る声が聞こえてきました。
「何だい?一体」
 おみよさんはその声がした方に顔を向けました。
「あたしは別に怒られることなんかしていないよ」
 無意識のうちに顔を向けたのですがそこは玄関の方でした。見れば一人のお爺さんが立っていました。
「何だい、あんた」
「あんたも何もないわ」
 そのお爺さんは何か長者さん見たいな立派な服を着て威厳のある顔をしていました。背筋もちゃんとしていてその姿でおみよさんを見ていたのです。
「おみよ」
 お爺さんはおみよさんに対して言います。
「見ておったぞ」
「見ておったぞって何がだい?」
 おみよさんはお爺さんに聞きます。
「いきなり出て来てそんなこと言われてもわからないってんだよ」
「わしが誰かわからんか?」
「ああ」
 おみよさんは答えます。はじめて見る人です。
「誰なんだよ、だから」
「本当に知らんのか?」
「見たことないねえ」
 おみよさんの返事はどうにも要領を得ません。ついつい首を傾げてしまいます。
「誰なんだよ」
「子供の頃会っただろうが」
 お爺さんはさらに言います。
「何度も」
「何度もかい?」
「そうじゃ」
 何か話しているお爺さんの方が怒ってきています。
「それでよくもまあそんなことが言えるものじゃ」
「覚えていないから仕方ないじゃないか」
 おみよさんの返事は相変わらずなままです。
「そうじゃないのかい?どうなんだよ」
 何かおみよさんの方が問うてきています。お爺さんはそんなおみよさんを見て思わず嘆息してしまいました。
「やれやれじゃ」
「呆れたのかい?」
「その通りじゃ」
 顔も呆れ果てたような顔になっていきます。本当に不愉快そうです。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ