ゼツとリナとの別れ。旅の始まり。
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「…アリス。」
「何ですか?」
俺はあの時の様に狂気に染まってなく、正気のままアリスのベッドの近くの椅子に座る。
「俺は…。」
少しだけフォルツは俯くと再びアリスの顔を見て。
「俺の勝手だ。お前をヴァンパイアの花嫁にしてしまった事も。」
「…。」
「だが。俺はそれでも前に進まなければ行けない。俺は奴を…ソーニャを倒さなければならない。」
フォルツはそう言って手を握り震える。それはまるで怒りに耐える様に。それを見てアリスはポツリと言葉をこぼす。
「何があったんですか?
フォルツ、貴方の過去に…。」
「知ってどうする?」
フォルツはくるりと振り向いてアリスを睨む。その顔はまるで思い出したくない物を思い出していた顔だった。
そしてフォルツは言葉を続ける。
「知った所で過去が変わる訳じゃない。」
「それは…。」
「だが…。」
フォルツは扉の方を向いたままポツリと言葉を溢した。
それは突き放す態度では無く何処か優しい言葉で。
「お前はなんとなくだけど信じてみたい…。それは確かだ。
…やっぱり言おう。」
俺は再びアリスに近くとその手を取って。
「…一緒に旅に出てくれるか?」
「…。」
アリスはそれを聞いてゆっくりとベッドから出るとフォルツを抱きしめて。
「…はい。いいですよ。
一緒に旅に出ましょう。」
「…いいのか?危険な旅になるかもしれないんだぞ?」
「…まあ、旅は道連れですから。」
「なんかいい感じだね♪」
「そうだな。」
扉の隙間からゼツ、リナ、ニナがこっそりと部屋の様子を見ていた。二人が抱き合った所でこっそりと扉を閉める。
そしてゼツはふ、と笑うとニナに。
「なあ、フォルツはあの頃のフォルツに戻って来てるんじゃないのか…?」
「戻って来てるといいんだけどね。」
ニナははあ、とため息を吐くと頭を痒そうに肉球でかきながら。
「あいつは…あんなに可愛い子がいても昔みたいに笑わない。
…無邪気に笑わなくなった。」
「ニナ…。」
「それにフォルツも昔のあの子の事を忘れられないんだよね…。きっとあの娘を殺したのは自分だって今でも思ってるんだよね…。」
ニナはまた一つ。はあ、とため息を吐く。そうしていると不意にリナに掴まれた。そうして猫の人形の様に抱きしめられる。
「でも前に進もうとしてるじゃん♪ニーナ!」
「ギニャ??
話せにゃ??人の女なんか興味ないにゃ??可愛い黒猫の女の子がいいにゃ??」
そうリナに抱きしめられている
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