生きるのは死を逃れる為じゃない、死を恐るから生きるんだ。
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存在意義を確かめる為の、他人の存在意義を与える為の、分かち逢えない悲しみの心を、知ろうともせず決めつけられた理不尽な少年の小説。解る様な、解らない様な内容の文を少年は一生懸命書き続け、笑顔で言った。
「会えるよ、ずっと待ってるから」
独り言…………その言葉は刹那を宿した言葉だった。
魔術的な意味を持った言霊だ。
会えない・会えない人間の寂しさ伝染させる拡散魔術。
魔術は現象。
その意味を成せれば現象は成立する。
意味を与えれば代用できる。
少年は普通の人間だ。長年の経験で解る。
と言っても4年半年程度の仕事経験者の目だが、素人の目より的確だ。
現象は成立する…………魔術的召喚儀式が。
『術式展開∴反転世界』
言霊を宿した言葉は『零』を惹き寄せる。
偶然発動した魔術を媒体に『惡魔』を召喚されたら.……止めなくちゃ!
私の知ってる対策知識だと、誘き寄せられた零達は魔術発動者の魔術を吸取る習性がある。
それを利用するんだ。結界を張り終えた今の状況なら多分、数は少ない。
少年を罠に使えば一網打尽だって可能だろう。だが、一般人を利用するなんて…………
零の気配だ、仲間を集めて魔術の発動源を喰らおうとしている。
時間は限られる。張り終えた札の魔術を収縮して少年を護らせるか?
結界の範囲内を狭め、少年の周囲だけを重点的に収めれば防御力は絶対的だ。
「守護の導きを少年の魂と接続。
一時的魔術発動者の権限を剥奪。魔術発動源を吹葵 夏那へ以降!」
少年の微量な魔力を私の魔力に変換。
撹乱作戦だ。今の私は少年の魔力を持っている。少年は結界の力で護られ守備は万全だ。
なら、後は私の番だ!ターゲットは私に変更され、零達は私を優先的に狙う筈。
私の役目は守る事。
守るんだ、守られなかった人達の為に。
階段を駆け上がる。
見慣れた階段を、普段はゆっくりと歩む階段を私は駆け上がった。
屋上を目指し、大量の札を壁や階段の手すりに貼り付けつつ私は走るのだ。
まだ、目立った変化は見られない。
でも、感じる。
大量の邪気が私を目指して向かってくる感覚を。
「融合される前に終わられる!」
屋上の扉を蹴り壊した。
案外、脆いな。でも、好都合!
私は手元の札をばら撒いた。ストックの札も全部ばら撒いた。
『・・・…...・・・』
それは出現した。
形を失った霊の零。
姿は見えない、視覚で見える物じゃない。
零は感じる『物』だ。
視覚で見るんじゃない、心の目で捉えるのだ。
目を開いたまま心の目で零を捉える。
数は最低100匹〜最高200匹と推測するが、焦らない。
準備は万全だ。罠を張り巡らせ、攻撃態勢
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