第1章:平穏にさよなら
第3話「志導緋雪」
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今日は、眠れるか?」
「...わかんない。」
さっきも寝てしまってたし、まだ悲しさは残っているから何とかそれを抑えておかないとまた泣いてしまう。
「...じゃあ、眠れるまで僕が傍にいてあげるよ。」
「本当...?」
「もちろん。」
私を撫でながらお兄ちゃんは微笑む。
「....じゃあ、お言葉に甘えて...。」
「うん。」
その後、お兄ちゃんは食べ終わった食器を洗い、ずっと私の傍にいてくれた。眠る時なんかは、安心させるためにずっと手を握っていてくれた。
「....うん.....?」
ふと目が覚める。時計を見れば、ちょうど12時くらいだった。
「...あれ?お兄ちゃん...?」
眠る前まで傍にいたお兄ちゃんの姿がない。
「どこ....?」
静かに部屋を出ると、下の階のリビングの方が明るいのに気が付く。
「お兄ちゃん....?」
足音を立てないように静かに階段を下りて、リビングへと向かう。...そこで、
―――.....ぅぁぁ....
「....泣き声...?」
嗚咽を漏らすような泣き声が聞こえた。気になった私は恐る恐るリビングを覗く。
「(あれ...お兄ちゃん...?)」
リビングには、テーブルに突っ伏すように泣いているお兄ちゃんの姿があった。
「ぁあああ....うぁあ....。」
「(....お兄ちゃん...。)」
...本当は、辛かったんだ。ずっと、泣きたかったんだ。でも、私に弱い所を見せないように、必死に我慢してたんだ...。
「(ごめんなさい...ありがとう....。)」
今まで心のどこかで転生の事で浮かれていた自分が恥ずかしくなった。...同時に、この世界を現実としてしっかり生きて、お兄ちゃんの支えになりたいと、心の底から思った。
――翌日――
「おはよう、緋雪。」
眠たい目をこすりながら起きてきた私にお兄ちゃんはいつもと変わらない笑顔でそう言った。
「おはよ〜...。」
「顔、洗ってきなよ。僕は朝食を作っておくから。」
その言葉で目が覚める。両親がいない事を思い出させられたからだ。
「お兄ちゃん....。」
「うん?なに?」
もう、泣く事はなくなった。これでも前世があるし、なにより、お兄ちゃんが励ましてくれたから。
「....もっと私も頼っていいんだよ?」
「....っ!緋雪....。」
でも、お兄ちゃんは励ましてくれる人がいない分、まだ悲しさが残っているみたいだった。その証拠に、少し目が赤
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