第1章:平穏にさよなら
第3話「志導緋雪」
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みたい。
「そうかの?..ふむ、それだけでは物足りなさそうじゃから、三つまで追加の要求をしとくれ。」
「特典みたいなものですか?」
「そうじゃ。ただ、あまりに強力すぎるのは却下じゃ。」
そっかぁ...。じゃあ......。
「東方の、フランドール・スカーレットの強さをください。」
「ふむ...ほう、これか。“強さ”というのは、能力も含むのじゃな?」
「はい。」
これは、ただ単に私が生前に一番好きなキャラクターだったから選んだだけ。...まぁ、強いしいいかな。
「これで一つ目じゃ。他にないかの?」
「えぇっと...あ、優しい家族と、お兄ちゃんをください。」
「ほう?」
あ、言ってみて少し恥ずかしくなった。
私が今のを要求したのは、生前では家族にあまり愛されなかったからだ。いつもどこかピリピリしてて、時たま私にストレスをぶつけてきたりもした。それに昔から私は朝に弱くて、学生時代はずっと怠惰な人生だったから、愛想を尽かされたんだと思う。だから、今度の人生は、そんな事がないようにしたい。...と言ってもただの念押しのための願いだけど。
「家族は特に分からんでもないが...なぜに兄が?」
「....えっと、その...そういうのに、憧れてたから?」
頼りになる兄に甘えるって言うのをやってみたいんだもん!
「...まぁ、いいじゃろう。三つ目はあるかの?」
「うーん...。」
特に、思いつかないんだけどなぁ...。
「あ、私が転生する世界ってどんな所ですか?」
「それは儂にも分からん。飽くまで儂はお前さんの魂に縁のある世界へと送るだけじゃからの。...あぁ、ただ、他の転生者がいるかもしれん。お前さんを呼び寄せる寸前に、複数の人間が転生しおった。」
「そうなんですか...。」
他にも転生者が...。
「...そうじゃの。お前さん達の世界にある小説では、“踏み台転生者”なる転生者が、洗脳・魅了系の特典を持ったりするそうじゃの。...と、言っても大抵は意味がないようじゃが。」
「あ、はい。大体そんな感じですね。」
「そうであれば、洗脳・魅了系の無効化でいいかの?」
「それはいいですね。」
お爺さんの提案に私は賛同する。この特典なら、転生者以外の存在からの洗脳も受け付けないだろうし。...自分の意志が操られるって怖いし、嫌だからね。
「これで三つですね。」
「そうじゃな。....最後に、本当にすまなかった。」
「...いえ、私自身、人生に挫折しかけていましたから、別に許しますよ。」
そう言うやいなや、私は光に包まれていき、意識が薄れて行った。
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