解かれる結び目 5
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ンストの一歩後ろを付いて行く。
少しだけ冷静になれた気がするのは、嫌われなかったから?
「エルンスト」
「ん?」
「ありがとう」
「うん」
怖い。物凄く、怖い。
巫として、女神として、私は何をすれば良いのだろう。
神々は、解放した私に、何をさせようとしてるんだろう。
人間が私に期待してるものを背負い切れる自信は、まったく無いけど……
「明日、もう一度、ちゃんとお尋ねしなきゃ」
とはいえ。
たっぷり半日が残った状態で部屋に籠るのも、地味に大変で。
出て行くのも嫌で、引き籠るのも嫌、だなんて。
どこまで我がままなのかしらね、私は。
しばらくはベッドの上で横になってたけど。
夕方頃ならともかく、昼間の明るい時間帯はどうしても寝つけない。
いつもだったら、正門付近の林に紛れ込んで村の人達の噂話を聴きながらのんびりと日光浴してる頃。
敷地の外へは、まだ、行けそうもない。
せめて、神々のご指示が下るまでは、このままが良い。
その後は、覚悟を決めるから。
きっと頑張るから。
せめて、もう少しだけ……
「…………? 何かしら?」
中庭から賑やかな気配を感じる。
ざわめき?
音楽?
窓ガラスから外を覗いて、噴水の周りに人集りを見つけた。
あのお客様三人が、揃って何かをしてるみたい。
窓を押し開いてみたら、賑わいがより鮮明になって押し寄せてきた。
やっぱり、音楽だ。
楽器を奏でているのは、ウェルスさん。
歌っているのは、コーネリアさん。
風に掻き消されそうではあるけど。
遠く離れたここまで言葉として届けるなんて、すごい声量。
ホリードさんは……何をしてるんだろう?
剣? を、振り回してる?
あ、そうか。
これ、剣の舞ね。
騎士達が時々見せる演舞とは違うけど、音に合わせて踊ってるんだわ。
太陽の光が髪と剣にキラキラ、チカチカと反射して眩しい。
耳を澄ませば微かに聴こえる歌の内容は、若者の旅について。
とある少年が研鑽を積んで騎士となり。
たくましく成長した頃に、神々の祝福を受けて聖なる剣を賜った。
少年は、剣を片手に魔王を討つ旅へと身を投じ……
『魔王退治って、いつ終わるのかも判らないお使いへ』
……この歌、ホリードさんの過去だ。
ホリードさんは神々の祝福を授かった人間なの!?
コーネリアさんはホリードさんの名前を直接語らず。
ただただ、過去の出来事を高く低く歌い上げる。
悪魔に、自然に、時には人間に仕掛けられた残酷な裏切りと。
容赦なく襲いかかる死の恐怖。
そんな
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