出会い
序章
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午前10時27分、気持ちの良い日差しと風が当たる温室でまどろんでいた青年は不意に瞼を震わせゆっくりと目を覚ます。しばらく、ぼーっとしていると影が差した。
「綱吉さん、お目覚めですか?なにか考え事でもされていらっしゃたのですか?」
銀髪に翡翠の青年が綱吉の様子にいぶかしんだように尋ねた。
綱吉は、遠くを見つめまま応えた。
「なんだか、予感がするよ。今日は何か起こりそうだ、隼人。」
銀髪に翡翠の瞳をした青年、隼人は瞬きながら肯定した。綱吉がそう感じるならそうなのだろう、これは彼にとって絶対的な予告だった。
__ 渋谷事務所
「学校の調査?しかも、メテオール学園の調査なんて…」と世情に詳しく、実家が病院というお嬢様育ちの綾子が驚いた声を上げた。
「有名なところなんですか?」と、ジョン―金髪碧眼の神父は―目をしばたかせた。
「うーん、メテオール学園?聞いたことないなぁ、有名なところなの?」と世情に疎い麻衣は不思議そうに尋ねた。
「有名と申しますか、知る人ぞ知るすごい学園といったところかしら。一般的有名な高校とは違い、一芸にひいでた学生が集まった高校と伺っておりますわ。」
「入学資格は試験ではなく秀でた一芸を示すことで、頭が良くてもそれだけでは入学できないらしいぞ。卒業生だけでなく、在学生でさえそれぞれの業界で引っ張りだこになるような天才・奇人・変人がいるという噂もある。」
上品に着物の袂で口元を抑えながら言った少女、真砂子に続いて、ぼーさん―茶髪で長髪の男―が冗談めかしたように言った。
5人の話を聞きながら、所長である渋谷一也――黒髪、黒目の若き青年―、通称ナルは思考の海へ意識を飛ばしていた。
4月20日 午後14時頃
「それで、ご依頼をおうかがいしても?」
目の前の心なしかやつれた顔を見つめながら、ナルはきりだした。紳士は冷や汗を流しながら、学園がおかしいのだと言った。
事の始まりは、4月の入学式を一週間を過ぎたころだったらしい。
はじめは皆気のせいだと思った、始終見られているような、そんな息苦しさを感じるようになったのだ。だが、1日2日と日がたつにつれそれはひどくなり教師も生徒も否定できなくなった。次第にそれは悪化し、視線だけでなく実害を伴った接触となった。体調不良〜病気・怪我〜重傷の事故まで様々なことが起こるようになったのだ、4/13〜4/20のたった1週間の間に。
「ですので皆さんに調査の協力を依頼したいとお呼びしたのです。調査に安原さんもお呼びする予定です。」
ナルは、切れ長の目で騒ぐ5人を冷たくみやり言った。
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