第3章 リーザス陥落
第46話 必勝作戦
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どうしてユーリさんは変わらないままでいられるんですか?」
「……」
ユーリは黙った。
確かにかなみの言う事も最もだ。今回の件。冒険者がする仕事の枠を超えているモノだろう。だが、それでも、自身がとる行動は恐らく変わらない。
否、決して変わることなど無い。
「そうだな。オレはかなみの事は信頼してる。……見捨てるなんて事は、オレには出来ない。……それじゃ理由にならないか?」
「いえ、そんな事は無いです」
この時、ユーリの脳裏に描いている道の先についてを言おうか迷わなかったか? と言われれば嘘になるだろう。
ユーリの本当の目的。全ての統一だから。夢物語、いや狂気にすら近い夢想。
全てが1つになったその先にあるものを目指す。……遠い、とても遠い向こうに見えている《丘》の向こうに行く事。広がっている世界を見る事。
その先に必ず姿を現す、最後の番人との、……アイツとの邂逅。
それを迷い、そして、それを話していいものか、と一瞬思ってしまった。
かなみは、信頼できる仲間である事は事実だ。今まで身の内に秘めてきたモノを、極めて大きなモノだ。信じられるかどうかも判らないレベルのもの。
国と国の問題がまるで小さなモノ、比べ物にならない程に小さなモノと思える程の大きさだ。それを、共有出来る者がいてくれたら、どれだけ軽くなるか。ユーリは、一瞬だが甘えたくなったのも事実だった。
だが……、話す訳にはいかない。
この世の理を覆す事実なのだから。少なくとも今は……。
「不安になるのも判る。……だが、忘れるな。オレは味方だ。見捨てたりはしない」
「……ユーリ……さん」
「泣くな、かなみ。……涙は、リーザスを、皆を救えた時に取っておこう」
「……ほ、本当に、ありがとうございました」
かなみは頭を下げた。
涙を見られないように。ユーリに言われたとおり、まだまだしなければならない事は多いんだから。泣いている暇は無いんだから。
そして、更に数十分後。
かなみは、涙を必死に抑え、そして同時に赤らんだ表情も元に戻そうとしていた。
「ああ、そうだった。ユーリさんに聞いてみたい事があったんだ」
「ん?」
「あ、その……」
かなみは、少し俯かせて……、聞いた。それは、以前ヒトミから聞いたもの。
「その、アニスさんは、ユーリさんにとってどういうk「ぶっっ!!?」……ふぇっ!??」
まさかのかなみの口から彼女の名前が出てくるなど、夢にも思ってなかったユーリは、思わず吹き出していた。何も飲み物を飲んでなくてよかったと思える。
「ゆ、ユーリさん??」
「なんで、かなみが アニスを知ってる? オレは言った覚えは無いが
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