意志
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、ちょっと気が遠くなりそう……」
目標が高すぎて、思わず遠い眼をしてしまう。すると部屋の扉が開いて、話題の主であるサバタさんが帰ってきたので、「おかえりなさい」と私達が迎えの声をかける。
「ミッションお疲れさま。首尾はどうだったの?」
「救出対象はリキッドに預けたし、新装備のテストも滞りなく成功、おかげで敵には一度も見つかっていない。何一つ問題が起きる要素は無いから、完璧に終わったミッションだった」
『さっすがサバタ様! スニーキングミッションはお手の物……って、このカードは何なの?』
「今回のミッションの報酬……アウターヘブン社の社員証だ。そしてこれが俺達の身分証となる。俺がミッションを受けたのは、これを手配してもらうためだったんだ」
「どうして?」
「前提として、俺達はこの世界での身分が無い。だから管理局が指名手配をすれば、管理世界ではそのようにしか俺達の立場は定義されなくなる。だが管理外世界の物であろうと身分を証明するものがあれば、もう一つの定義としてそれは後ろ盾となってくれる。実際、この社員証は社長直々に発行してもらったものだから、見て見ぬふりは管理局でもできない。まあ簡単に言えば、管理局の一方的主張を跳ね除ける強力な手札になるわけだ」
『じゃあつまり……私達の居場所が正式に認められたってこと?』
「地球上ではな。だが正式な物である以上、管理局も迂闊に手出しできなくなった。向こうから見て、下手をすれば地球と全面衝突になる程の地盤。だから……マキナ、シャロン、これが俺からおまえ達に与えられる、身を守る新しい居場所だ」
そういってサバタさんはマキナと一緒に私の頭を撫でてくれる。私達のために危険なミッションをこなしてきた、彼の優しさ……彼の愛情……それが彼の撫でる手から私の身体に流れて、胸の辺りがじんわりと温かくなってきた。
……?
なんかサバタさんの顔を見てると、妙に顔がかぁーっと熱くなって恥ずかしくなってきた。つい視線をそらした私は社員証の方を見る。それにしても、アウターヘブン……か。どこかで聞いた名前だなぁと墓場で思ってたら、こんな所に答えがあったよ。となるとこの会社も色んな経緯があって、その上で成り立っているのだろう。プリスキンさんとどういう関係があるのかは流石にわからないが、知った所で今の私にはどうしようもないな。
『ところでこの社員証なんだけど、全部で7枚あるのは……彼女達の分も用意したから?』
「その通りだ。俺、マキナ、シャロンの3枚に、シュテル、レヴィ、ディアーチェ、そしてもう一人の分の4枚を足して7枚。この場にいる全員の分は、抜かりなく用意している。後は名前と写真をインプットすれば、その瞬間からこれは正式な社員証となる」
そういう訳なのでサバタさんは
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