意志
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も一緒にして……何とか怯えを表に出さずにやり過ごした後、高台で習慣となった歌を歌う事で心を落ち着けていた。この歌は私がアクーナに残されていた古文書を読み漁っている時に見つけ、古代語でつづられた歌詞はこんな解釈ができる。
『大地に眠りし者よ、安らかに眠ってくれ、私があなたの安息を守るから』
内容からして、まるで鎮魂歌のようなので私もそうだと認識し、それに歌ってると心が安らぐので、私と話しに来たマキナもすぐ気に入ってくれた。だけど……彼女がアクーナに留まらないと聞いた時、私はどうしたらいいのかわからなくなってしまった。マキナのためを思うなら背中を押してあげるべきなのはわかってたけど、自分の心がそれを認めようとしてくれなかった。気持ちが定まらなかった私はその日、あまりよく眠れなかった。
そして次の日、世界の終わりが始まった。事の顛末は省略するが、私のこれまでの全てが失われていく……それほどまでの喪失感を伴う一日だった。私はサバタさん達に助けられて、こうして今も生きているけど……私には何も残っていなかった。この先どう生きて行けばいいのか、一切見当が付かなかった……。
「……はぁ……私、これからどうしたらいいの……? 何も……わからない……」
今日のVR訓練のメニューを終えた後、私は休憩室で一人心情を吐露する。生活環境も、境遇も……何もかもが全て変わってしまい、まるで世界の中心で迷子になってしまったように、行き先も目的も、真っ暗で何も見えなかった。
『やっぱり……辛いよね、シャロン。故郷を失った苦しみは私も同じだし、これからの事も全然わからなくて決めようが無いよね』
「うん……でも私と違って、今もマキナは前に進もうとしてるね。どうして?」
『どうしてって言われてもね……実は私、空元気で自分を誤魔化してるだけなんだよ。だって立ち止まったら……どこまでも沈んじゃうもの。進み続けてないと……振り返って動けなくなりそうだから……』
「そっか……マキナも……同じだったんだ。だけど私は遅かったかな……11年前からずっと、過去を振り返ってばっかりだから」
『シャロン……』
顔に縦線が入る私を、マキナが悲しそうに見つめる。ニダヴェリールに来てから記憶に刺激を受けて過去が蘇りつつある事で彼女は、大破壊の光景を徐々に思い出してきている。だから思い当たってしまう、別れの時の記憶を……全てが狂い始めたその時を……。
「……ごめん、思い出させちゃった」
『ううん、まだうろ覚えの状態だから気にしなくていいよ。まぁ今は、今後の事とか何も思い付かなくても大丈夫だと思うな。サバタ様の傍にいれば、きっといつか見つけられる。私も……それを希望に生きているから』
「希望……ね。マキナ、少し訊いていい?」
『なにかな?』
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