3部分:第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第三章
「あれだけあるんだよ。その飴が人間だったらさ」
「人間を飴にしちゃうことができれば」
「お化けだったらできるわよね」
想像が膨らんでいくのでした。こうしたところはやっぱり子供です。
「明日もよい日だよい子が来るよ」
「ほら、こう言ってるし」
「僕達のことだよ」
また歌声が聴こえてきてさらに怖い気持ちが強く速くなってきます。
「来た子供達をそのまま」
「飴に変えちゃうんだよ」
「そんなの食べるのなんて怖いよ」
もう完全に怖がってしまっています。
「それも僕達が飴にされちゃうなんて」
「食べられるなんて」
「大丈夫だよ」
けれど市長さんがここで皆に優しい声で言うのでした。
「僕がいるからね。そんなことはさせないよ」
「市長さんがですか」
「そうだよ」
また優しい声をかけます。
「だから。安心して行こう」
「わかりました。それじゃあ」
「一緒に」
こうして皆で屋台の前に行きます。ピエロのおじさんはそんな皆を見てもいつもの調子でした。相変わらず陽気にダンスを踊っています。
「おや、市長さんですか?」
「ああ、そうだよ」
ここはあえてにこりと笑っておじさんに答えます。
「久し振りに飴を欲しくなってね」
「それはいいことで」
踊りを止めてわざと恭しい動作でお辞儀をしてきました。
「では子供達もさあどうぞ」
「うん」
「じゃあおじさん」
子供達は市長さんに隠れながら何とか平静を装っておじさんに応えます。
「飴頂戴」
「僕は水飴」
まず一人の男の子が言いました。
「それ頂戴」
「私林檎飴」
今度は女の子の一人が言います。
「それが欲しいわ」
「よし、じゃあ皆」
市長さんがまた皆に言ってきました。
「ここは僕がお金を出すよ」
「えっ、市長さんが?」
「いいんですか?」
「大人が一緒にいる時は大人がお金を出すものだよ」
にこりと笑って皆に言うのでした。
「だからだよ。遠慮することはないよ」
「わかりました。それじゃあ」
「御願いしますね」
「おやおや、市長さん」
おじさんはまたおどけたピエロの踊りを踊りながら市長さんに言います。
「気前がいいんですね」
「お菓子は気前よくね」
市長さんもにこりと笑っておじさんに言葉を返します。
「そしてお金を受け取るのは慎重に。政治家の基本だよ」
「よく御存知で。それでは」
「うん。頼むよ」
「わかりました」
こうして皆に飴をあげます。そしてそれが終わり屋台の飴を大抵買ってしまうと。ここでおじさんは皆に対して言ってきました。
「おやおや、こんなに売れてしまいましたよ」
「おじさん有り難う」
「美味しかったよ」
市長さんと子供達はこうおじさんに御礼を言います。
「皆の
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ