第四話:休息となり得るか
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、見当もつかないに違いない。
……思いついても変わったサラダ作りで、まさか目の前の物をただ食うだけなんか、それこそ思いつかねぇよな。
「まずは期待の薄い物から行くか……」
言うなり俺はワサビのチューブを手に取り、蓋を開けると少量握り出して舌の上へ乗っける。
果たして…………拍子抜けする程、普通のワサビの味だった。何かおかしい味は何もしない、何時も通りの鼻にくる辛さである。
それ以上も以下もない、生ワサビの味でしか無い。
ならばとカラシに塩も試してみれば、中々如何してマシな物であり、先の摩訶不思議味覚の数々に比べれば、数段マシに思えた。
単なる塩味、単なるカラシ味。
普通に食べている物なのに、何故単品を口に入れるか調理するかでここまで変わってくるのだろうか。
……如何やら俺の舌は、普通の人類とはある意味で “逆” になっているらしい。
次はいよいよ “俺が” お待ちかねの―――尤も期待を込めている、生野菜群だ。
「あぐっ…………おっ」
あ、普通だ。
そんな言葉がポンと頭に浮かんできた。
厳密に言うなら昨日までの感覚と比べて、気のせいでも何でもなく味が薄いと感じてはいるが、先にも行ったように朝食で出された物に比べれば、数段マシには違いない。
普通に、いや今の俺の状態を鑑みるなら普通『以上』に食える代物だ。やはり調理されていない生の状態だと、拒絶感も無く食えるらしかった。
……ん? まてよ、だとすると……?
「いやな予感がするが……試してみるか……」
俺はもう一度冷蔵庫を開けると、徐にチルド室を引き開けて中から昨日使ったばかりでラップが掛けられている、近所のスーパーで買ってきた特売品の鳥笹身パックを取り出し、中から一つ取り出して元の位置に戻して置く。
「……ふぅ……」
間の良い悪いにかかわらずもう分かっただろう……肉を生で食べようとしているのだ、俺は。
手で持つのが今更ながらに憚られ、端っこを掴んで上に持っていき、躊躇いながらも口へと運ぶ。嗅いだ限りでは何ら特別でもなく、温まってきた為か肉特有の生臭さが鼻をつく。
口の前で数秒停止させてしまうが、俺は意を決して前歯を立てて齧り取った。
その途端、驚愕にみまわれた。
「……!」
旨い……普通に、いやそれ以上に旨い……!?
見た目通りの生肉そのままな筈なのに、まるで表面を少しだけあぶったような感触。
全く火が通っていないのに、焼いた際に口の中に広がる旨みが、香ばしさが、肉の中にたっぷり含まれていやがる。
焼いた際の美味しさが、焼
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