第四話:休息となり得るか
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「……試してみるか、色々と」
リビングのドアを開けキッチンへと向かい、冷蔵庫を開けて中身を物色する。
焼き鮭の残りや煮物はアウトだ。食べなくとも変な味がするのぐらい、今朝の経験で分かる。
かといって、調味料を直に口にするのも気が引ける。そんな冒険は最後の最後……俗に言う最終手段で充分だ。
だが……ならば何が良かろうか。
「……」
延々考えていても仕方無かろうと、俺は避けるべき物を除いてのべつ幕無しに取り出した。
昨夜のホウレンソウに煮びたしにハムにベーコン、冷凍食品各種に何故か冷蔵庫内にあったツナ缶、トマトやキュウリなど生の野菜、一応と言う事で調味料も取り出しておく。
さて、順番に試していくとしよう。
「まずはハムだ……ボンレスハムなのか――――――んぐっ!?」
不味い! ……思わず心の中でそう叫んでしまった。
甘い甘い不快辛い甘い甘い生臭い……そんなパンチの利きすぎた味の連鎖に耐えきれず、俺は慌てて口から吐き出し水を飲んだ。
如何やら水は飲めるようで、昨日まで飲んでいた時と、何も変わらないようにも感じた。……水も候補に入れなきゃな。
「ハァ〜……次だ」
落ちついてから口を付けたのはホウレンソウの煮びたし。これも父の大好物で、俺もこの煮びたしはそれなりに好いていた。
口に入れて咀嚼してみる…………。
「……チッ、駄目だな」
予想はしていたが、やはり不味い。調理が簡単ならば良いとは思ったが、どうにも世の中甘くは無いみたいだ。
此処まで分かった事を合わせることで、もしかすると調理・加工された食べ物は食えないのではないか、と言った可能性が首を擡げてきた。
そうなると調味料の類は半分ぐらいアウト。ベーコンも冷凍食品も喰えないのは言わずもがなだ。ならば次試すべき食品はある程度絞られる。
確実性を期す前に、まずはツナ缶を開けてみる事にした。
ただの油漬けなら何とかなるかもしれないと思ったからだが―――――
「ベッ!」
駄目だな、煮びたしの方がまだマシだ。ギトギトした機械油の様な『何か』に、冗談抜きで臭いのキツい魚をぶち込んで、でも取りあえず食べる為に味を整えました……そんな適当且つクソったれな味がする。
駄目だろうと値を付けた食品を次々と冷蔵庫の中へしまっていき、テーブルの上にはトマトにキュウリにレタス、塩ビンとワサビとカラシのチューブが残る。
これだけで食うモノじゃあなかろう食材達が、俺の目の前で堂々テール部に鎮座していると言う訳だ。
何も知らない人が見れば、何をするのか何をしようとしているのか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ