第四話:休息となり得るか
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だとすると律儀に時間を図って、ピッタリの時刻にファミレスへ行く気なのか。はたまた遅刻かその逆か。
いや、違う。単にお袋と……否、お袋は寛大だ。
こういう事を許さず、あーだこーだと煩い親父が出て行くのを待っているだけだろう。
朝食の際には “例のアレ” としか言っていないし、説明を促されれば友達を会う約束がある〜などと言って誤魔化す筈。
親父がそれだけで邪推するとも思えず、また階下から怒鳴り声も聞こえて来なかった。なら、(楓子の)予定通り物事が運んでいると言っていい。
……が、俺には当然関係ねぇ。
「……そういや……」
余談だが毎回思う事に、俺が殴られそうだったり怒られそうなときは何も言わない癖に、何故楓子が被害に遭いそうな時は助け船を出すのか? と言った事をお袋へ小一時間とは言わず何時間でも問い詰めたい。
男の子なんだから我慢しなさいという価値観を持つなら、女尊男卑だと非難してやる。アイツがまだ中一だからというなら、自業自得なのだから躾けて貰っておけと進言してやろう。
歩み寄る、歩み寄れないの境を行ったり来たりする原因は、お袋のその行動にもあるのだから。……まあ、向こうはこっちの事情なぞ知ったことでは無かろうが。
所詮うら若く時折ウザイ、ラブコメディー馬鹿だ。
そもそも感じている恩より溜まっている不満の方が大きく、親父と言う逆らえない対象が無ければ、そして未だ1人立ちなど出来はしない状況で無いなら、即座に反旗を翻したいぐらいである。
……幾ら意識しづらいとはいえ、さっきから親に向かって恩知らずな台詞ばかりはいてるな、俺。やはり転生しており前の生活を覚えている、その記憶があるからだろうか。
「さて……何時かなー…………と」
黙って時計を見てみれば、あと少しで親父とお袋のお勤め時間であった。
彼等が出て行けば、悠々と食料探しに勤しめる。
親事故お袋もいらない所で鋭い看破能力を見せる為、精々アホな勘だけは働かないでくれと、願う事を忘れない方がよさそうだ。
……何に、とは言わない。
そして、時計を見てから憶測で、約二十分ほど経ったとき。
『ぶ〜〜〜ん! ひとっ飛びぃ!!』
馬鹿みたいに高いテンションでダァホみたいな台詞を吐きながら、ドタバタと五月蠅い足音を鳴らした犯人である楓子が、ウザイぐらい元気よく俺の部屋の前を通り過ぎた。
玄関を開ける音がしてから十分は経ったため、出かける事にしたのだろう。
もうよかろうと、引き扉を開閉する音が響いてから俺も立ちあがった。
いい加減、腹へってたまらない。何か口に、胃の中に入れたい。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ