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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第四話:休息となり得るか
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 だとすると律儀に時間を図って、ピッタリの時刻にファミレスへ行く気なのか。はたまた遅刻かその逆か。


 いや、違う。単にお袋と……否、お袋は寛大だ。
 こういう事を許さず、あーだこーだと煩い親父が出て行くのを待っているだけだろう。


 朝食の際には “例のアレ” としか言っていないし、説明を促されれば友達を会う約束がある〜などと言って誤魔化す筈。

 親父がそれだけで邪推するとも思えず、また階下から怒鳴り声も聞こえて来なかった。なら、(楓子の)予定通り物事が運んでいると言っていい。



 ……が、俺には当然関係ねぇ。


「……そういや……」


 余談だが毎回思う事に、俺が殴られそうだったり怒られそうなときは何も言わない癖に、何故楓子が被害に遭いそうな時は助け船を出すのか? と言った事をお袋へ小一時間とは言わず何時間でも問い詰めたい。


 男の子なんだから我慢しなさいという価値観を持つなら、女尊男卑だと非難してやる。アイツがまだ中一だからというなら、自業自得なのだから躾けて貰っておけと進言してやろう。


 歩み寄る、歩み寄れないの境を行ったり来たりする原因は、お袋のその行動にもあるのだから。……まあ、向こうはこっちの事情なぞ知ったことでは無かろうが。
 所詮うら若く時折ウザイ、ラブコメディー馬鹿だ。


 そもそも感じている恩より溜まっている不満の方が大きく、親父と言う逆らえない対象が無ければ、そして未だ1人立ちなど出来はしない状況で無いなら、即座に反旗を翻したいぐらいである。


 ……幾ら意識しづらいとはいえ、さっきから親に向かって恩知らずな台詞ばかりはいてるな、俺。やはり転生しており前の生活を覚えている、その記憶があるからだろうか。


「さて……何時かなー…………と」


 黙って時計を見てみれば、あと少しで親父とお袋のお勤め時間であった。
 彼等が出て行けば、悠々と食料探しに勤しめる。

 親事故お袋もいらない所で鋭い看破能力を見せる為、精々アホな勘だけは働かないでくれと、願う事を忘れない方がよさそうだ。


 ……何に、とは言わない。


 そして、時計を見てから憶測で、約二十分ほど経ったとき。


『ぶ〜〜〜ん! ひとっ飛びぃ!!』


 馬鹿みたいに高いテンションでダァホみたいな台詞を吐きながら、ドタバタと五月蠅い足音を鳴らした犯人である楓子が、ウザイぐらい元気よく俺の部屋の前を通り過ぎた。


 玄関を開ける音がしてから十分は経ったため、出かける事にしたのだろう。

 もうよかろうと、引き扉を開閉する音が響いてから俺も立ちあがった。


 いい加減、腹へってたまらない。何か口に、胃の中に入れたい。

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