解かれる結び目 4
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っかりしなきゃ」
自分の頬を両手で叩いて剥がれそうな女神の威厳を装い、神殿へ向かう。
「本日はこちらの方々も同席されます。女神マリアよ。どうか天上の神々の御心をお示しください」
やっぱり、昨日のお客様は神託が目的で神殿を訪れたのね。
三人共、私と年齢の開きがあるようには見えない。
十代後半くらい?
一人だけ、近くで見ると男性か女性かはっきりしない人が居るけど……
服装からして男性? かしら?
「よろしくお願いします」
「……神々の導きのままに」
祭壇の前に立って、正門側の正面入り口を見据える。
祭壇から入り口までの間には、五段程度の低い階段と両腕を広げた大人が横に十人並べるほどの幅広い通路。
その両脇に、等間隔で並んで天井を支えている計十二本の大きな石柱。
更にその外側には、複数人で座れる木製の長椅子が数十台整列してる。
この椅子は、神殿の敷地を整える為に伐採した木々を加工した物らしい。
父さんの母さんが生まれるよりもずっとずっと昔……気が遠くなるくらい古くから使われているのにまだまだ現役って、すごいわ。
入り口側の壁一面に散りばめられた、ステンドグラスの澄んだ色彩も。
それが石床に斜光を伸ばしてキラキラと光り輝く様は、宝石箱をひっくり返したみたいで、物凄く綺麗。
光で描かれた絵画を端から端まですべて見渡せるこの場所は、結構好き。
正面の右側、一番手前の椅子にお客様三人が。
左側一番手前の椅子に大神官様が着席して、それぞれの外側に護衛騎士が二人ずつ並び立っている。
大神官様のすぐ横に居るのは……エルンスト。
今は仕事中だから、昨日みたいに砕けた表情は見せてない。
真摯な青い眼差しが捉えているのは、最後の巫である『女神マリア』。
……ええ、そうよ。
私は、天神の一族最後の一柱、女神マリア。
与えられたお役目を果たす為に、ここに居る。
神々が定めた、この鳥籠の内側に。
この場所に、私個人の感情なんて要らないの。
「皆様もどうぞ、心静かにお祈りください」
両手を組んで、アーチ状の高すぎる天井を仰ぎ、目蓋を閉じた。
ブローチは昨晩、部屋へ戻ってすぐ小箱に戻した。
リボンも結局、首筋の辺りで後ろ髪を雑に結んでるだけ。
いつもと大して変わりない姿でも、神々には不敬に思われるかしら。
……ううん。邪念は棄てよう。
今は静かな心で、神々の言葉を受け取ろう。
静寂。静謐。静粛。何でも良い。
ただ、示される道のままに……
「え」
パリン! と。
ガラスを割ったような音を立てて、何かが壊れた。
パッと目を開いて周りを確認してみ
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