第十一話 『敵の影』
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「でも幸いここは病院だ。非常用発電機も常備している。でもそれが使われていないということは、生存者は恐らくいないものと考えられる」
なるほど、筋は通ってるな。だがそれだけかどうかは、実際に見て回らないとわからない。それは陵太もわかっているはずだ。
「でも生存者がいないとは限らないから、二つのチームに別れて行動しようと思う」
そう言うと、いつ書いたのか、メモみたいなやつを取り出してそれを読み始めた。
「まず発電機を始動させるチームだけど、それは俺と千歳でいく。千歳には適当な棒を持たせておけばいいし、病院の癖のある発電機を始動させられるのは多分俺だけだからな。んで、生存者を探すチームだけど、零斗と望月さん、佐伯の三人でいってくれ」
とそこまで言った陵太を遮るように、珍しく佐伯が口を挟んだ。
「まってごめん。俺ここに残っていいかな?」
予想外の発言に、正直俺は驚いた。それはどうやら陵太も同じのようだ。
「なにか目的が?」
驚いた表情を打ち消した陵太がすかさず口を挟む。
「うん。電気が復旧すれば、ここのモニター郡から監視カメラの映像が見れる。俺はみんなみたいに強くはないから、ここからバックアップに回った方が効率もいいかなって」
なるほど。確かにオペレーターがいればお仕事も楽になるな。丁度昨日無線もてに入れたし、効率は格段によくなるな。
「確かにそうだな。分かった。佐伯はここからバックアップを行ってくれ。発電機を始動させたら、監視カメラ映像を逐一報告、なにか動きがあったらすぐに知らせてくれ」
「分かったよ。みんな気を付けてね」
そして、院内の探索が実行に移された。昨日から全員、なにも口にしていない。水すらもだ。睡眠はとったとしても、みんなの疲れはほとんど抜けてないはずだ。でもみんな、生きるために必死に頑張っている。俺も何か、できることをしないとな。そんな思いを胸に、俺は管理室の鍵を開け、外へと踏み出した。
ーーーー
そこは、硝煙と血の香りに満ちたトンネルの中だった。5.56o口径の自動小銃で武装した屈強な男達が、射殺体から、装備品などをを回収して回っている。
「隊長。施設入り口、及び地下エレベーターの安全確保完了しました。オールクリアです」
一人の隊員が、落ち着いた様子で報告する。
「お疲れ様です。いや〜、化学兵器の実験施設の癖に、こんなにもガードが固かったなんてね〜」
隊長と呼ばれたその男。黒いハットをかぶり、それと同じ黒のスーツで全身を固めた男は、そう言いながら自衛隊員の射殺体を踏み越えていった。
「そろそろ上層部の連中も、作戦郡を動かしたことに気がつくはずだな。ここからは手早くやらんといかんな」
その男の目には、野望と憎しみに満
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