序章
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れるのかと思った。
それなら、こっちも負けないほど楽しまないとな?
「千冬!」
「な、何だ?」
買い物袋を持った千冬がビクッと俺に振り向いた。
「休憩しようぜ? いい場所を知ってんだ」
俺はそう言うと彼女の手を引いてその休憩地点へ向かった。
「こ、こら蒼真!?」
千冬は、そんな俺に手を握られて赤くなっていた。
*
そこは、東京湾の見える綺麗な臨海公園だった。
「綺麗なところだな?」
「そうだろ? 俺のお気に入りの場所さ。ほら、ベンチに座ろうぜ?」
「あ、ああ……」
俺たちはベンチに座って湾を宥めた。そこには遊覧船やらいろんな船が行き交い、活気があふれていた。
「今日は、俺と遊びに行きたかったんだろ?」
「へぇ……?」
一息ついたところで、俺はようやく本音を聞き出した。
「最初は学校で疲れるようなことをさせられるかと思ったけど、まんざらでもないな? 遊びに行くって言ってくれたなら、俺も制服じゃなしに私服で出かけたのに」
「す、すまない……誤解をさせてしまったようだな?」
「でも、遊びに行きたかったのは本当だろ?」
「あ、遊びではない!」
急に千冬はベンチから立ちあがった。え? もしかして違うのか?
「え、違うの?」
「あ、遊びではなくて……その、あれだ……で、デー……」
「で?」
「デートだ!」
思いっきり告白した千冬を目に、俺は目が点になった。
「……え?」
デート? デートって、あのデートか? いや、しかし! 彼女が俺と!? こうして遊びに出掛けるのなら友達としてならいざしらず、デート?
「い、いいのかよ……?」
「何がだ?」
「俺みたいなので、いいのかよ……?」
何もかもダメな男と、何もかもが完璧な女が、こうしてデートだなんて……
「お、お前じゃなくては……駄目だ! だから……」
さらに顔を赤くしてもじもじさせている。俺だって同じだ。
「で、でも……デートって、どうすりゃあ?」
「私に聞くな! 初めてなんだ……」
「こっちだって……ああ、もう!」
俺はついやけになって立ち上がると、ガシっと千冬の手を掴んだ。
「要は、楽しめばいいんだろ? 一緒にいっぱい遊んで、いっぱい思い出つくればいいだけじゃないか? そんな無理して漫画やドラマみたいな展開にしようとしなくたっていいじゃないか? お互い素人なんだし、最初は遊ぼうぜ?」
俺の言葉に、固くなっていた千冬も徐々に肩の力が緩み、だんだんと落ち着きを取り戻していった。
「そうだな……最初はそのほうがいいのかもしれないな?」
「よし! そうと決まれば……ごめん、今日は何日だっけ?」
俺は彼女に日にちを尋ねた。
「八日だが?」
「よし! それなら近場に空自の航空祭がやってるんだ。最近この辺りに空自の基地が新しくできたんだ。今日は
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