序章
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千冬だけである。ちなみにこいつも数少ない古い幼馴染だ。
「ちーちゃん! 一緒に帰ろうよ?」
「ま、待て! 束? 今は邪魔をしないでくれ!?」
「え〜……だって、束さんはちーちゃんと……あ?」
束は俺と目線があった。すると、先ほどの親しげな態度はやめて俺に敵意をむき出しにしてきた。
「何でコイツがいんのよ?」
「居ちゃわりぃかよ……」
俺は面倒な顔をして言い返した。
束は、こうみえて千冬以外の周囲にはこういう態度だ。特に俺とは仲が悪すぎるらしい。それは、今から始まったことじゃないのは言うまでもない。
「ちーちゃんに近寄る黴菌はこっち来んな」
「束っ!」
起こった千冬は勢いよく束へ拳骨をくらわした。
「いったあぁ〜い! 何すんのぉ?」
「いい加減に、蒼真を悪く言うのはやめろ! 私たちは昔からの顔なじみだろ?」
「だってだってぇ〜……」
「……一緒に帰ってやるから、外で待っててくれ?」
「は〜い……」
大人しく束は先に外へ向かうが、俺と通り過ぎた時に一瞬殺意ある目を向けて下駄箱へ向かった。
「……」
昔っから面倒な奴と顔なじみなってしまったと、俺はため息をつく。
「すまない……私がもう少し束へ指導していれば、お前にも不愉快な思いをさせずに済んだのに……」
「気にすんなよ? それに、束がああいう態度なのは今から始まったわけじゃないだろ? 俺はもう慣れっこだし、気にしてねぇよ?」
「そう言ってもらうと、助かる……」
千冬は緊張がほぐれて、ようやく笑んでくれた。笑ってさえいれば可愛いんだけどな……
いつもムッツリしているから話しかけても起こっているのかどうなのかもわからない。
まぁ、彼女は俺とは違ってクラスの人気者だから友達はたくさんいるだろう? 何せ彼女は文武両道というパーフェクトな存在だ。
それに比べて俺と来たら……束とまではいかないが、俺って人づきあいが大の苦手なのだ。おまけに成績も最下位で運動神経ゼロ、モヤシ、ワカメなどと言われているクラスの嫌われ者だ。
「……で、何か話があるんじゃないか?」
俺はようやく彼女の要件を尋ねることができた。
「あ、ああ……そうだったな? その……」
また、顔を赤くして言葉を詰まらせている。このままではらちが合い赤いから、俺は等辺僕ながらも、思い当たるようなことを考えて口にしてみた。
「……手伝ってほしいこととかあるのか?」
「え?」
千冬は、俺を見た。すると、俺はこう言い続ける。
「力仕事なら多少は手伝えるぞ? それとも、夏休みの宿題を教えてくれるのか?」
もし、俺の質問が正しければ、後者であってほしい。 こいつは先ほども言ったように成績優秀だからこんな程度の宿題なんて朝飯前だろ?
「そ、そうだ! お前に頼りたいことがあるのだ!」
――ああ、そういうことか?
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