第3章 リーザス陥落
第45話 カスタム防衛戦
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いるのだけど、それでも遅すぎるのだ。
そして、響いたのは 金属の音。何かが弾ける様な甲高い音。
それを訊いて、志津香は、ゆっくりと目を開けた。
そこに立っていたのは……。
「なんだてめぇ!!」
確実に、放たれていれば志津香の命を奪っていただろう刃。それを受け止めてくれたのは。
「……これから」
男は ゆっくりと、相手を見据えた。そして、相手の目を見て叫ぶ。あらゆる負の感情を込めて。殺意を込めて。
「これから死ぬヤツに名乗る名は無ぇ!!!!」
その怒号と共に繰り出した男の剣技は、ヘルマン軍の剣を粉砕した。
体格の比較的大きい、ヘルマン軍の自分より、遥かに小さく華奢とも思える男の何処にこんな力があるのだろうか。剣を粉砕された一撃の威力は、そのままヘルマン兵の身体を吹き飛ばしていた。吹き飛ばされた男は、無数の兵達の中へ頭から突っ込んでいき、見えなくなった。
「ぎゃぁぁぁっ!!」
そして、遅れて響くのは、男の悲鳴。
「……死にたくないヤツからかかってこいと、言う所だったが……」
凶悪な殺気が場に渦巻いた。
それがまるで意思を持っているかの様に剣に纏うと、更に一段階、殺気が上がったと錯覚される。宛ら、その姿は悪鬼だと言えるだろう。
「貴様らは、ひとり残らず叩き潰す! 滅殺だ!」
ユーリは、その身に殺意を纏い、剣を構えながら、無数のヘルマン兵へと突進していった。
「あ………」
志津香は何が起きたのか理解するのに、時間がかかっていた。
確かに、あの一瞬……彼の顔が頭を過ぎった。最後の瞬間に、死ぬ寸前に浮かんだ。それは カスタムの皆の顔じゃなく……彼の顔が。そして、次に目を開けたら……。
「ふん。ユーリめ! 自分だけ格好をつけよって!」
そして、遅れて駆けつけてきたのが、もう1人の男だった。見覚えがある男。
「む? がはは。なんだ志津香、腰が抜けているようだな? オレ様が優しく抱き起こしてやろう! その代わり、お前にはオレ様の皇帝液を抜いてもらうぞ? がははは!」
「あ、あんたは……」
呆気に取られてしまったが、目の前にいるのは間違いなくあの時の男。
ランスだった。
つまり、さっきのは幻覚の類ではない。……助けてくれたのは間違いなく。
「ゆーっ……」
志津香は思わず涙ぐんでいた。彼の姿を思い浮かべながら。
「志津香っ!? 無事なのっ!」
ランが駆け寄り、志津香に世色癌と元気の薬、竜角惨を差し出した。
「え、ええ……大丈夫」
「ユーリさんが……、来てくれました。これで大丈夫っ……」
ランも涙ぐんでいた。
志津香が斬ら
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