第3章 リーザス陥落
第45話 カスタム防衛戦
[7/21]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
魔法使いなんざ、距離を詰めれば楽勝よ!」
「な、なんですって!!」
「あっ だ、ダメです! 志津香さん! そんなに前に出ては!!」
それは志津香の弱点。
直ぐに熱くなってしまうと言う事。挑発に弱いと言う事。
熱くなるが故に集中力が散漫になってしまう。魔法においてはそれは致命的だろう。集中力が無ければ、威力も出ず、魔力も霧散してしまう。そして、霧散してしまえば……。
「きゃあっ!!」
周囲への注意力も散漫になってしまうのだ。飛来してきた矢が志津香の身体を掠めた。続いて、第2、第3の矢が、志津香の脚にも掠める。数を考えれば 直撃しなかっただけで、幸運と言えるが 脚を掠めた為、バランスを崩してしまい倒れてしまった。
「ひゃはは!! 殺ったぜぇぇ!!!」
「っ!!」
「志津香っ!!」
ランが駆けつけて来たが、もう手遅れだと言う事は、残酷なまでに判ってしまっていた。何故なら、自分と志津香とは距離がありすぎる。近接戦闘を主体とするランと後方火力支援主体の志津香だ。……接近戦となってしまえば、どうなるのか、見るより明らか。
そのヘルマンの剣が志津香に迫っているのがはっきりと目に焼き付いた。
「やめてぇぇぇ!!」
ランが叫びを上げるが、その剣が止まる事はない。喜々として剣を振り上げているヘルマン軍は、止まらない。
「(こ、こんな所で終わるわけには いかないのに……)」
この時、志津香の頭は急速に回転を上げた。
これは、死の間際に見ると言われる走馬灯と呼ばれるものだろう。
「(私は……あいつと一緒に……ラガールを……って約束をした……のに)」
もう後ほんの一寸の距離にに白刃が迫ってきている。全てがスローモーションだけど、決して止まってくれる訳でも、自分が早く動ける訳でもない。
「(アイツ……ゆー……と一緒に……)」
そして、最後に思い浮かべるのはいつも思っていた事。
『アンタは絶対にいなくなるんじゃないわよ……』
頭の中で、その顔を思い浮かべる時、決まって 志津香は呟く。
また、出会えた喜びを知って……そして、大切な人がいなくなってしまう苦しみを知っているからこそ強くそう思っていたのだ。なのに……自分が……。
志津香は、最後の瞬間は目を開ける事が出来ず、思わず目を瞑ってしまった。
「ゆぅ……!」
そして、最後に出てきたのは……大切な人の顔と名前、だった。そして。
――……ゆぅに、会いたい。
その言葉は、出る事は無かった。
目をぎゅっと瞑っている志津香。
だけど、一向に刃が襲ってくる事は無かった。死の直前は全てがスローモーションになっている。そう感じて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ