第3章 リーザス陥落
第45話 カスタム防衛戦
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あの規模であれば 一瞬だっただろう」
パットンが考えていたのは、カスタムの陥落報告だった。事前に作戦の内容も聞いていたからこそ、失敗するとなど微塵も思っていなかったようだ。だが……。
「い、いえ……、先日のカスタムの街への攻撃は、失敗に終わりました」
「なに……?」
報告内容は、自身が想像していたものとは まるで逆だったのだ。つまりは、負けたと言う報告だった。
「敵は、司令官マリア・カスタードを中心に、少数ながら見事な防衛戦を展開しています」
「敵を褒めたたえていると言うのか……? それに、ヘンダーソンが発案したあの作戦。少数では対処しきれない物と踏んでいたのだが……、私の見込み違いだったのか?」
パットンは、ギロリと睨みつけた。その眼光に萎縮してしまう兵士だったが、直ぐに首を振る。
「い、いえ! ご安心をっ! 前回の攻撃で、カスタムの防衛線は大分傷を負わせた筈。次の攻撃で必ずや占領出来ます!」
「ふん……、仏の顔も3度までというが、私はそこまで甘くはない。前線の大隊長に伝えよ。この次は成功の報告以外は無い。その命もな」
「は、はっ!! お任せ下さい! 必ずや、パットン皇子の元へと、吉報を献上致します!」
兵は急ぎ足でこの場を後にした。
実はまだ報告していない事実もある。それは、突如現れた者達の存在だった。
「………」
脳裏に過るあの光景。
カスタムから逃げるヘルマン兵達の中に彼はいたのだ。あの圧倒的な力の前にしていた。数なんか物ともせずに屈強な兵士を屠る姿。鎧を装備している意味すらないのではと思えるその攻撃力。
しかも、敵は実質たった2人。
たった2人の加入で一気に覆されてしまったのだ。
「……アイツ、アイツは 中でもアイツだけは……」
走りながら呟く。2人の内最も恐怖を覚えたのは……あの男だった。
その脚は報告の時から震えていた。
失敗の報告をするからだと思っていたようだが、その事実は違っていた。
1人の人間を……ここまで畏怖するのは、初めて3軍に入ったあの時以来なのだった。
現在、人類最強と称されるヘルマン一の勇姿。その姿を初めて間近で見たあの時と。
「くっ……」
震える脚を必死に止めようとする。
「今度は……ヘンダーソン様も もっと大規模攻撃を仕掛けざるを得ない。全兵力を駆使してでも。……ご自身の命が掛かっているのだから。いくら強くても、全勢力相手に勝てる筈がない!」
自分に言い聞かせる様にそう言っていた。
彼の言う事は間違いではないのである。
間違いがない、だからこそ、彼らはあの悪魔の通路を利用してカスタム内に入ったのであり、個々の力だけで大
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